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記事2008年7月3日 2103号 (2面) 
特区評価・調査委員会 研修等で幼保免許資格取得実現を求めて
厚労、文科両省から意見聴取
 構造改革特区で、幼稚園教諭免許所有者が一定の講習を受けることなどで保育所の保育士の資格を取得できるようにする――との問題等をめぐって六月二十七日、構造改革特別区域推進本部評価・調査委員会医療・福祉・労働部会及び教育部会合同部会は、所管省である厚生労働省と文部科学省の担当官から意見聴取を行った。現在、新規卒業者(就職者)に関しては、幼稚園教諭をベースに保育士資格を、あるいは保育士資格をベースに幼稚園教諭を同時に取得する比率はそれぞれ約九割と高いものの、一方の資格しか持たない既卒者については、幼稚園教諭免許に関しては文科省の、保育士資格については都道府県(社団法人全国保育士養成協議会)の試験合格が必要。その合格率は約二〇%のため、評価・調査委員会では「(合格率が)著しく低い」として、試験に代えて、実習、OJT、短期集中的な研修、アフタースクールにおける履修等の方法により他方の資格取得を促進したい意向で、特例措置を所管省に求めている。
 両部会の強い要請に厚生労働省は、目下、包括的な次世代育成支援のための具体的な制度設計の検討に着手している社会保障審議会少子化対策特別部会での検討の必要性や、これらの問題は税制改正(消費税率の引き上げによる財源確保)と関係すること、場合によっては一気に全国実施の可能性もあることから、早急な判断は難しいとしたうえで、既卒の幼稚園教諭免許保有者に対しては研修や通信教育など試験以外の方法による資格取得の道を開くことに関して前向きな姿勢を見せた。こうした背景には、都市部を中心に保育所に入りきれない待機児童を解消する必要性、女性の就労率の増加等を想定して、厚労省では二〇一七年までに百万人の三歳児までの児童受け入れ増を進めていく計画で、そのためには保育士を毎年一万七千人ずつ増やしていく試算などを行っている。厚労省も新卒者だけでは保育所への需要増を賄え切れず、既卒者の活用は避けて通れないことを認めている。
 一方、文部科学省が両免許・資格の取得促進を目的に平成十七年度から実施した「幼稚園教員資格認定試験」の受験者は、十七年度の四千三百二十九人をピークに十八年度には二千二百四十五人、十九年度には一千四百六十七人と減少を続けている。十九年度の合格率は二一・七%だが、三年間の平均合格率は一二・四%。幼稚園教諭免許、保育士資格の取得促進に関しては、評価・調査委員会では更に検討、七月中に結論を出す方向で、九月には構造改革特区推進本部方針が決定される。
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