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記事2008年7月3日 2103号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
分野別評価の導入など課題提示
検討課題に関するアンケート実施
【認証評価特別委員会】
 中央教育審議会大学分科会の認証評価特別委員会(座長=長田豊臣・学校法人立命館理事長)は、六月二十六日に、東京・霞が関の文部科学省庁舎で第二回会合を開催し、関西学院大学と金沢工業大学からヒアリングを実施するとともに、今後の委員会での検討の進め方について審議した。
 関西学院大学からは井上琢智教授らが出席し、「認証評価を契機としたPDCAサイクル強化への取り組み」と題した説明資料をもとに、早くから自己点検・評価に取り組み、二〇〇六年度の認証評価受審を契機に、学院に設けた評価推進委員会を中心に、内発的で自律的な発展への循環過程(PDCAサイクル)を強化し、七年に一度の認証評価の間も毎年、目標の達成度や改善の進捗を自己点検・評価する新たな制度を構築した経緯等を説明した。金沢工業大学からは久保猛志教授らが出席し、「金沢工業大学における教育改善への取組み」と題した説明資料をもとに、学内に設けられたKIT評価向上委員会を軸として、教務、教育点検評価、入試、学生、進路の各部委員会とが連携した、教育実践や修学支援に関する改善サイクルへの取り組みを説明した。
 続いて、委員会が検討すべき認証評価制度等に関する課題について、事務局から、自己点検・評価の充実、認証評価制度の目的・役割の明確化、認証評価制度の実施の在り方、分野別評価の導入・普及、認証評価結果に関する大学等の活用・情報の提供、評価機関の形成・支援の各課題が挙げられた。また、これら検討課題についての調査方法としては、ヒアリングや大学評価研究委託事業によるほか、大学等へのアンケート調査を実施することとなり、アンケート調査にあたっては、早田幸政委員(大阪大学大学教育実践センター教授)、杉本和弘委員・森利枝委員(ともに独立行政法人大学評価・学位授与機構准教授)の三委員が事務局に協力することとなった。委員会の次回会合はアンケート調査の結果が出そろった十月以降となる予定である。

「留学生の範囲」は今後の課題に
高校生留学の現状等報告も

【留学生特別委員会】
 中央教育審議会大学分科会の留学生特別委員会(座長=木村孟・独立行政法人大学評価・学位授与機構長)は、六月二十三日に、東京・霞が関の文部科学省庁舎で会合を開催し、今後の留学生交流の在り方について議論を進めた。
 同委員会では前回までの議論をもとに「『留学生三十万人計画』の骨子」取りまとめの考え方に基づく具体的方策の検討≠ニいう表題の文書の文案を整理してきたが、この日の会合での検討内容も勘案し、座長と事務局との間で文章を確定することとなった。
 なお、どこまでを留学生として扱うのか、除外する範囲があるのかについては、座長から、その点は明確としていない、今後の課題であるとの整理があった。
 また、この日の会合では、鳥飼玖美子委員(立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科教授)から同委員が作成した資料により、高校生留学の現状と今後の課題について説明があった。これまで成果をあげてきた高校生留学は岐路に立たされており、留学受け入れについては、ホスト校で特に担当教員の負担があり、またホスト家庭についても世界的には有償となっているのに対して日本ではまだそうなっていない、さらに留学生についても学籍がないため、高校生としての優遇措置が受けられないケースが発生している。
 留学派遣については、英語が好きだからとか、英語が得意だからとの考えで留学していた時代とは異なり、今ではコミュニケーション能力が不足し、早期に帰国するケースも増えている、このため英語力について所属校からの推薦状を求めるケースも生じてきたが、さらにSLEP(TOEFLの中高生版)による一定の成績を要求するケースも出てきている、こうした事情により、米国以外の英語圏を派遣先として探すケースが生じてきている、などの紹介があった。
 横田雅弘委員(一橋大学留学生センター教授)からは、同委員が研究グループの代表を務めた、文部科学省先導的大学改革推進委託経費による調査研究「年間を通した外国人学生受け入れの実態調査」の報告書をもとに、その概略を説明した。その中で、留学生の定義についても説明があり、OECDでは以前からのforeign studentsというカテゴリーに加えて、新たにinternational studentsというカテゴリーを創設したが、現実的には各国の様々な事情があり、統一された定義が存在するわけではない。OECDは、自ら独自の調査によって留学生数を発表しているのではなく、各国から上がってきたデータを「外国人学生」と「留学生」とに分けて集計している、として多様な定義があることが紹介された。
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