七月中旬からハンガリーなどで行われた「国際化学オリンピック」「国際生物学オリンピック」「国際数学オリンピック」に参加した日本人高校生の成績が七月二十一日までに明らかになった。それによると日本から参加した高校生十四人全員がメダルを獲得、うち八人は私立高校生だった。生徒たちが挑んだ問題は日本の高校レベルを上回る水準で、厳しい挑戦となったが、大会には遠足や現地の文化体験のプログラムも用意されており、参加した生徒たちは、異文化体験や英語学習の大切さ、世界のレベルの高さなどを知る貴重な体験となったようだ。
■国際化学オリンピック 今年で四十回目を数える「国際化学オリンピック」は、七月十二日から二十一日(現地時間)までハンガリーの首都・ブダペストで開催された。日本からは灘高校や駒場東邦高校の生徒ら四人が参加した。
わが国を含めて世界六十六カ国・地域から二百五十七人の高校生らが参加した今年の大会では、グルコース(ブドウ糖)に基本的な反応を行い進行を確かめる実験、八種類の無色透明な水溶液に溶けた物質を特定する実験など三つの課題を五時間かけて取り組む問題や、有機化学、無機化学、分析化学などの筆記問題に挑んだ。
「我が国の高校化学のレベルをはるかに超えた問題」(同行役員の木原伸浩・神奈川大学理学部教授)だったが、四人の参加者は揃って銅メダルを獲得した。金メダルは参加者の一割、銀メダルは同二割、銅メダルは同三割に贈られる。化学オリンピックの日本代表生徒は、国内の「全国高校化学グランプリ」参加者から選ばれている。二年後には東京で国際化学オリンピックの開催が決まっており、野依良治・独立行政法人理化学研究所理事長を組織委員長に準備が進められている。
■国際生物学オリンピック 今年で十九回目の「国際生物学オリンピック」は、七月十三日から二十日(現地時間)までインドのムンバイで、世界五十五カ国・地域から二百二十人の高校生らが参加して開かれた。このうち日本からの参加者は麻布高校や千葉県立東葛飾高校生ら四人。日本の参加はまだ四年目だが、四人のうち三人が銀メダル、残る一人も銅メダルを獲得した。
ただし慣れない食事や宿泊地から試験会場までの悪路などから体調を崩す生徒も出るなど悪戦苦闘の大会となった。チームドクターや日本から同行した科学技術振興機構の職員のサポート(問題校閲や成績の分析作業等)もあって、日本の学習指導要領を超えた内容の試験にも、過去三回を上回る成績となった。
来年の第二十回国際生物学オリンピックは、日本(つくば市)での開催が決まっている。
■国際数学オリンピック 今年で四十九回目となる「国際数学オリンピック」は、七月十四日から二十二日(現地時間)までスペインのマドリードで世界九十七カ国・地域から五百三十五人の高校生が参加して開かれた。うち日本からは開成高校や灘高校の生徒ら六人が参加、金メダル二人、銀メダル三人、銅メダル一人と優れた成績を収めた。ただし日本人が苦手な幾何の影響もあって国順位では昨年の六位から僅差で今年は十一位に後退した。今年の大会で金メダルを取った筑波大学附属駒場高校二年の副島真さんは三年前にも同オリンピックに参加し、銅メダル、昨年の大会では金メダルを取るなど三つ目のメダル獲得となった。
国際化学オリンピック参加生徒の成績銅メダル 東 星一(あずませいいち)さん 灘高等学校(兵庫県)3年
銅メダル 小澤 直也(おざわなおや)さん 駒場東邦高等学校(東京都)2年
銅メダル 鈴木 裕太(すずきゆうた)さん 宮城県仙台第二高等学校(宮城県)3年
銅メダル 福井 識人(ふくいのりひと)さん 灘高等学校(兵庫県)3年
国際生物学オリンピック参加生徒の成績銀メダル 内海 邑(うちうみゆう)さん 千葉県立東葛飾高等学校(千葉県)3年
銀メダル 海老沼 五百理(えびぬまいほり)さん 筑波大附属駒場高等学校(東京都)3年
銀メダル 大河原 健太郎(おおかわらけんたろう)さん 麻布高等学校(東京都)2年
銅メダル 水野 俊一郎(みずのしゅんいちろう)さん 福井県立藤島高等学校(福井県)3年
国際数学オリンピック参加生徒の成績金メダル 関 典史(せきのりふみ)さん 灘高等学校(兵庫県)3年
[2007年も参加し、銀メダルを獲得]
金メダル 副島 真(そえじままこと)さん 筑波大附属駒場高等学校(東京都)2年
[3年前から参加し、2005年銅メダル、2007年金メダルを獲得]
銀メダル 浅野 知紘(あさのともひろ)さん 灘高等学校(兵庫県)3年
銀メダル 今村 志郎(いまむらしろう)さん 灘高等学校(兵庫県)2年
銀メダル 保坂 和宏(ほさかかずひろ)さん 開成高等学校(東京都)2年
銅メダル 滝聞 太基(たきぎくもとき)さん 筑波大附属駒場高等学校(東京都)2年
[2007年も参加し、銀メダルを獲得]