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記事2008年6月3日 2100号 (1面) 
学士課程の教育構築で私大団体連等が意見発表
基本姿勢や戦略具体性欠く
高校団体は高大接続テスト不支持
 中央教育審議会大学分科会の制度・教育部会(部会長=郷通子・お茶の水女子大学長)は、五月十三日と同二十二日にそれぞれ会合を開催し、先にまとめられた「学士課程教育の構築に向けて(審議のまとめ)」についての関係団体からの意見聴取を実施した。
 五月十三日には、日本私立大学団体連合会のほか、国立大学協会、公立大学協会の大学三団体と全国高等学校長協会から意見を聴取した。
 日本私立大学団体連合会からは、鈴木典比古・高等教育改革委員(国際基督教大学長)が出席し、審議のまとめは政策誘導型の提言に終始し、我が国がとるべき基本的姿勢や戦略が具体的に明示されていない、到達目標やコアカリキュラムの設定等は教育の標準化につながりかねず、教育の多様性の確保を斟酌すべきである、とした。また高等教育への公財政支出の比率を欧米諸国並みに早急に引き上げるよう明示すべきである、「おわりに」の教育費負担の在り方の見直しにおいて、私立大学の大きな役割に全く触れられていない、私立大学の学費負担者は自らの学費負担だけでなく、税金を通して国立大学の授業料の分まで二重に負担している、受益と負担の公平を自明の理とする先進諸国に倣い、財政に裏打ちされた国立大学法人との格差を解消する施策を提示すべきであると述べた。
 全国高等学校長協会からは、高木充・大学入試対策委員長(千代田区立九段中等教育学校長)が出席し、悉皆学力試験、卒業資格試験の設定は不適切で、大学等入学資格試験の制度も支持しないと述べた。五月二十二日には、英国での質保証の例の説明などを聴取したほか、書面ヒアリングの提出意見が紹介された。
 日本私立短期大学協会は、将来像答申において構想していた大学像とは異なり現実に著しいずれが生じていることについて明確な捉え直しが必要であること、高大接続の在り方について高校教育の自律性の確保の必要が触れられていない、学士課程教育に続いて短期大学士課程教育についても速やかな検討が望まれるなどの意見を提出した。
 全国専修学校各種学校総連合会は、今後の学士課程教育は、専門学校および高等専門学校の役割・使命を明確にした上で高等教育全体のグランドデザインの中で考える必要がある、などの意見を提出した。
 日本私立中学高等学校連合会は、現行AO入試は本来の趣旨から乖離し一般の推薦入試と変わらないものとなっている、大学側はアドミッションポリシーを明確にし、進学希望者の適性を審査する責務があり、適正な運用のためのシステム構築が求められる、高大接続テストは現場に無用の混乱を生じさせ教育活動に大きな影響を及ぼすもので支持は得られないとする意見を提出した。
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