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記事2008年6月23日 2102号 (2面) 
「私学の未来」テーマに経営研修会開催
日私教研主催・東京私中高協等後援
独自性、公共性など討議
教員免許更新制、学校評価の研究も
 「私学の未来―変革期に対応する私学教育(私学力)」を研究のねらいにした「私学経営研修会」が、六月五・六の両日、都内のホテルで開かれ、私立中学高校の理事長、校長ら二百人が参加。パネル討議やグループ討議等を通じて、これからの私学教育の方向性等や教員免許更新制、学校評価などの問題への対応等について研究討議した。財団法人日本私学教育研究所の主催。東京都、東京私立中学高等学校協会などの後援。このうち初日には三人のパネリストによる討議が行われた。
 一昨年から昨年にかけ、高校での必履修科目の履修漏れ、私学の独自性・自主性、学習指導要領の法的拘束性等の問題がマスコミで報道され、中央教育審議会、国会等で議論され、いわゆる教育三法の制定に繋がった。
 初めに氏岡真弓・朝日新聞編集委員は「当時、新聞各紙は履修漏れを伝えたが、学習指導要領を絶対視したことはおかしかった。歴史的認識に欠けていた。私学の批判は当然だった」と反省を込め当時を振り返りつつも、私学の公共性が問われながら、私立学校をめぐる議論があまり行われなかったこと、私立学校の社会的存在が大きくなる中で、生徒や保護者のみのための存在でいいのか、私立学校が社会的責任を果たしているか疑問に感じる点もあると指摘。「私学発の公共性」の模索の必要性を指摘した。
 本間勇人・本間教育研究所長は、日本の未来、世界の未来を切り拓いていくのが私学力で、未来を見るには歴史に学べとして、私学の創設者らの思想的系譜を辿りながら、官立の教育行政はほとんど変わっていないこと、大量生産・消費の教育が官立教育で、学習指導要領はOECDのPISAの世界標準の物差しで測ると、六つあるレベルの中の三番目(情報の分類・照合)にとどまり、議論させない教育を生み出しているなどと指摘。 
 實吉幹夫・東京女子学園中学高校理事長・校長は、公にできないことを行うのが私学で、教育界では経験主義がまかり通っており、経験主義の最たる存在が文部科学省、競争社会に生き残る教育として私学を考えては困るなどとし、私学のあり方の研究の重要性などを強調した。鈴木康之・水戸女子高校長がコーディネーターを務めた。このほかジャーナリストの櫻井よしこさんが「教育が拓く未来」と題して基調講演し、私学には歴史教育などを通じて日本人の土台作り、知識の統合の教育などを期待しているとした。また日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長が私学を取り巻く最新の情勢を、同研究所の山路進主任研究員が教員免許更新制の最新の動向などを報告した。
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