こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2008年6月13日号二ュース >> VIEW

記事2008年6月13日 2101号 (6面) 
ユニーク教育 (184) ―― 渋谷教育学園渋谷中学高等学校
J8コンテストで日本代表
授業の積み重ねが結実

 J8(ジュニア・エイト)コンテスト(主催=日本政府外務省、ユニセフ)が三月三十一日、東京・渋谷の国連大学ビル・エリザベス・ローズ・ホールで開かれ、渋谷教育学園渋谷中学高等学校(田村哲夫校長、東京都渋谷区)のチーム「渋渋4」(ShibuShibu4)が、今年七月一日から七月十日まで、北海道・千歳市で開催される「J8サミット2008 千歳支笏湖」に、日本代表として参加する栄誉に輝いた。
 七月七日から九日まで北海道・洞爺湖で開催される、主要八カ国の首脳が集まって国際問題を討議するG8サミット。ここで討論される政治や経済問題は、世界中の子供たちにも大きな影響を与える。二〇〇五年からG8で取り上げられる国際問題を、子供たちの視点で話し合う「J8サミット」がスタート、貧困をはじめとする子供にかかわる問題について提言を行ってきた。
 同校のJ8コンテスト顧問の小向千秋教諭は「生徒たちがすでにJ8コンテストについて、調べ、そこで討論されることに非常に興味を持っていました」と出場のきっかけを語る。J8コンテストに参加した生徒は、岡洋平君、栗脇志郎君、菊地美穂さん、篠生春菜さんの、現・高校二年生「帰国英語クラス」在籍の四人だ。
 コンテストの最終選考会にいたるまでには、二度の予選を通過しなければならない。「G8・J8のテーマとなる国際的な問題の解決に向けた提言を内容とするエッセイ」の第一次選考と、面接試験の第二次選考だ。英語と日本語による面接試験では、チームワークとユーモアも選考内容に含まれている。五分間の自己ピーアールでは、高校生らしさを出し切った。「特定の生徒に頼るのではなく、四人が均等に質問に受け答えしていた点が評価された」(北原隆志教諭)。
 同校は「自調自考」を教育方針に掲げ、自分の未来に向けて、今何を身につけるべきなのか、自主的に自分で組み立てていくことができる力を育てて、二十一世紀の国際社会で必要とされる資質を持った人間育成を目指している。
 この方針は「生徒の個性を大切にし、この力を国際社会で役立たせるようにすることを目標としています」と言う高際伊都子副校長の言葉にも表れている。そのために、普段の授業では生徒の考えを大切にしている。
 「基本的な方向はアドバイスしますが、教師が道筋をつけるような指導は行いません。生徒の自主性、自発性を大切にしています」(高際副校長)。
 いよいよコンテストの最終選考は、@J8サミットの課題に関する、英語によるプレゼンテーション、A日本語と英語による、チーム対抗ディベートで実施された。ディベートの内容は、CO2削減、エイズ治療薬の特許権、環境税導入、開発途上国の初等教育と中等教育など六テーマに及ぶ。
 同校では中学一年から授業の中でディベートやプレゼンテーションを導入している。このような普段からの授業の積み重ねが発揮された。コンテストは、まさに中学一年から行っている四年間の授業の積み重ねの発表の場面だった。英語については、帰国生はもともと英語ができると思われているが、大変な努力をしているという。
 審査委員長のアグネス・チャン氏は、僅差で同校が勝ち残ったことを報告し、「日本の代表としての自覚を持ってほしい」と激励した。
 普段通りの実力を発揮した四人は、貧困問題について興味を持ち社会に役に立ちたいと思っている生徒、ニューヨークでバイオリン演奏を行ったことのある生徒、企業でプレゼンテーションを行った生徒、そして、J8コンテスト最終選考の前日までシンガポールでの研修に参加していた生徒たちだった。



記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞