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記事2008年5月3日 2098号 (1面) 
文科省 小中学校学習指導要領移行措置を公表
理数系の授業時数増加
補助教材で当面対応
私学含め「武道場」の整備も推進
 文部科学省は四月二十四日の臨時都道府県・指定都市教育委員会教育長会議で、小学校と中学校の学習指導要領の改訂に伴う移行措置案を公表した。翌日から五月二十四日までパブリックコメントを行った後、移行措置を決定、来年四月一日から実施する。今回の移行措置は、理数系教科について移行期間中から授業時数を増やして新課程の内容を一部先取り実施するのが特徴。移行期間中の授業時数の増加は今回が初。教科書の作成が間に合わないため、同省が責任をもって今年度中に補助教材を作成・配布し、来年度からの使用に備えることにしている。

 新学習指導要領は、小学校につては平成二十三年度から、中学校については二十四年度から全面実施となるが、来年度からの移行措置については、可能なものは先取り実施する方針。直ちに実施可能な学習指導要領の総則や「道徳」、「総合的な学習の時間」、「特別活動」については、新学習指導要領の規定を前倒し実施する。また算数・数学、理科を除く各教科については、学校の判断で先行実施が可能となる。ただし(1)地図帳で指導可能な四十七都道府県の名称と位置等の指導(小学校)(2)音楽の共通歌唱教材として指導する曲数の充実等(小・中学校)(3)体育の授業時数の増加(小学校低学年)は、すべての学校が先取り実施する。
 また小学校第五・六学年の外国語活動については、各学校の裁量で授業時数を定めての実施を可能としている(各学年で週一コマまでは総合的な学習の時間の授業時数を充てることが可能。
 移行期間中の具体的な指導内容に関しては、小学校算数では「時刻の読み方」が第二学年から一年に移り、第四学年では「そろばん(加法・減法)」が登場、第五学年では「ひし形・台形の面積の求め方」が復活する。第六学学年では「文字を用いた式(a、xなど)」も登場する。小学校理科では、「テコの規則性」、「電気の利用」を新たに学習する(第六学年、平成二十二年度)。
 中学校の数学では、第一学年で「資料の活用」(資料の散らばりと代表値、ヒストグラムの代表値の必要性と意味等)中学校理科では第三学年で「水溶液とイオン」などを新たに学ぶ。先月の教育長会議では、今後、思考力・判断力・表現力等の育成にはきめ細かな指導、少人数教育が不可欠だが、教職員の増加は不十分として更なる教職員の増加を求める意見が出されたが、同省の金森越哉・初等中等教育局長は、「先行実施も視野に入れながらしっかり条件整備に取り組みたい」と語り、同省では学校現場の事務負担の軽減についても引き続き検討を進める方針。また中学校での武道必修化に合わせて、武道場の整備を進める(公立校の整備率四七%)とともに、武道の指導が効果的に行われるよう指導者向け指導資料を作成する。
 教科書については、今年度中に検定基準を見直し、小学校については二十一年度に検定、二十二年度に採択・供給、二十三年度からの使用。中学校については、二十一年度に編集、二十二年度に検定、二十三年度に採択・供給、二十四年度から使用する。高校と特別支援学校の学習指導要領については、今年秋を目途に改訂される予定。
 高校教育について金森初中局長は、高校側が主体的に質保証の問題に取り組むよう要請。「大学に振り回されず積極的に議論してほしい」と出席の教育長らに要請した。
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