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記事2008年5月3日 2098号 (1面) 
橋下大阪府知事と私学団体代表らが懇談
PTが私学助成大幅削減を提案
私学は「学校選択の自由奪う」
富裕層中心に公立高授業料引き上げ逆提案
 府財政の建て直しを進める橋下徹大阪府知事は、五月八日、大阪市内の府庁内で大阪私立中学校高等学校連合会(平岡正巳会長=清風南海中学高校長)と大阪私立中学校高等学校保護者会連合会(松山省三会長)の会長らと面談し、知事のプロジェクトチームがまとめた私学助成の大幅削減案について意見交換した。
 この中で平岡会長は、私学助成等の削減は、授業料の引き上げ、公私立高校間の授業料等格差の拡大をもたらし、保護者の学校選択権を狭め、知事が目指す日本一の教育県実現が遠のくことなどを指摘。そのうえで教育財源の確保には、公立高校の保護者にも富裕層を中心に応分の授業料等の負担を求めることを提案、知事に英断を求めた。
 また松山会長は、高校が進学率九七%の義務教育≠ニなっている中で、公立校と私立校に支出される公費には五十万円近い格差があり、私学助成等の削減が行われると公私間の授業料の格差は現在の五―六倍から、七―八倍に拡大、子供が親の収入を考えて私学進学を諦めてしまう悲しい現実が増えることや、保護者の収入に公私間で差はないにもかかわらず、私立学校の保護者は教育費の二重負担(私学の教育費のほか、税金で公立校の教育費を負担)をしていることなどを訴え、知事に再考を要請した。
 知事のPTの財政再建プログラム試案では、私立高校への経常費助成を前年度比一〇%削減(幼稚園、専修・各種学校も同じ)、小・中学校については、三〇%削減。授業料軽減助成は、二十一年度の入学生から、生活保護世帯を除き助成額の大幅減額、廃止を行う。私学退職金財団への補助金も二十年度は休止、二十一年度以降は一〇〇〇分の一四という全国最低レベルに引き下げる。そのほか私学関係予算は軒並みを削減する方針だ。このうち小・中学校への私学助成三〇%削減は、義務教育で公立校の受け皿があること、公立では高校に比べ所要経費が二、三割低いことによる。
 この日は公立学校の保護者の坂口一美・大阪府PTA協議会長、西岡義治・大阪市PTA協議会長も同席し、公立中卒業者の約三割は私立高校に進学していることから、経済的理由から子供が行きたい学校に行けない問題、これまで高校教育は公私トータルな政策で進められてきたことから、私学助成の削減については、私学側との十分な話し合いを要請した。このほか日本私立小学校中学校高等学校保護者会連合会の稲田昌広会長も同席、公正な競争原理のもとに、公私を問わず自由に学校選択ができるよう、私学助成制度の一層の充実発展を求める要望書を橋下知事に手渡した。
 こうした私学側の要請に橋下知事は、保護者が私立小学校を選ぶ理由は何か、と質問。保護者らの「付加価値を求めて」との答えに、「それならばお金がかかってもしょうがない」と語り、補助金の削減に理解を求めた。また学校法人の理事の給与なども調べたい、と語った。しかし私学側の、公立学校の保護者も応分の負担をという提案については回答せず、最後は財政の窮状を強調することに終始した。大阪府は暫定予算が七月末までのため、六月中には今年度予算案を編成、七月中に議会で成立をはかる方針。
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