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記事2008年4月23日 2097号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
新指導要領実施で条件整備求める声
振興基本計画は年次展開計画明確に
【初中分科会・教育課程部会合同会議】
  中央教育審議会の初等中等教育分科会・教育課程部会合同会議が四月十八日、東京・虎ノ門の文部科学省講堂で開かれた。この日は、(1)三月二十八日告示の小・中学校新学習指導要領(2)合同会議前に開かれた総会でまとめられた教育振興基本計画に関する答申(3)大学分科会の三月二十五日の学士課程教育に関する審議のまとめ、のそれぞれ概要が文部科学省から報告された。この日は報告が主、そのため意見の発表は数人に限られた。
 このうち、小学校と中学校の新学習指導要領に関しては、中教審の今年一月十七日の答申の趣旨が文部科学省が作成した新学習指導要領にどのように生かされているかの報告を受けたもの。
 新学習指導要領の概要が報告された後、教員出身の委員が、総則のいわゆる愛国心をめぐる個所で中教審答申にはなかった文言が学習指導要領に記述されている点などを指摘。それに対し文部科学省は、修正は一般からの意見募集で寄せられた意見を考慮した点を説明。また現職教員の委員は学習指導要領の改訂で授業時数が増えるが、現在、精神的にも肉体的にもギリギリの教員が今後は子どもと向き合える余裕を持てるようにと、定数の改善を要請した。
 教育振興基本計画に対しては、「曖昧な表現」「委員の出した数値目標がほとんど答申には載っていない」「教員免許更新講習への支援がはっきりしない」「(入学金が払えないという問題が先日、千葉の公立高校であったが、)修学支援を明確にしてほしい」など、数値目標を書き込めなかったことへの不満が委員から出された。また同計画は平成二十年度から五年間の計画だが、年次的な展開計画を明確にしてほしいとの意見も出された。
 これに対して、梶田叡一・初等中等教育分科会長は、「工程表は必要だ。政府の計画が策定された後、文部科学省は具体的計画を作るだろう、と思う」と語った。
 学士課程教育に関する審議のまとめでは、大学の質保証の問題は、日本だけではなく、台湾や韓国にとっても大きな問題となっていること、大学全入時代の入試のあり方や大学認証評価も四年を経過し、第一期を総括する意味で、そのあり方の検討の必要性が指摘された。
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