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記事2008年4月13日 2096号 (3面) 
今春の近畿圏中学入試 日能研調べ
約10人に1人が受験
志願者総数は微減の4.8万人

  近畿二府四県(大阪・京都・滋賀・奈良・和歌山・兵庫)の統一入試三年目の二〇〇八年近畿圏私立中学入試は一月十九日にスタートした。首都圏と同様近畿圏でも小学校卒業者数が減少し十九万五千五百十人と、昨年の二十万人台より約七千人減った。日能研関西の推定によれば、近畿圏の中学志願者総数は四万七千九百三十人で、昨年より約千五百人減少した。統一入試となってから受験生が志望校を絞り込む傾向が進んでおり、男子難関校の受験者数は今年微減したが、志願者数が安定してきたようだ。女子難関校は昨年の人気で難度が高くなったと敬遠されたのか、自然減以上に減少が見られた。今年は、岡山県の中学や、全国の寮のある学校の県外会場で実施した入試が人気となったこと、大学との提携で志願者を増加させたところがあったのも特徴だった。

 日程的には昨年とほぼ同じ一月十九日が開始日となった今春の近畿圏私立中学入試は、二府四県で約百四十校ある私立中学のうち約百二十校が十九日の初日に試験を実施した。受験生がダブらないこの十九日時点での私立中学受験者数が実質に最も近いみられ、日能研関西調べによれば十九日の受験者数は二万百六十三人で、昨年より約千人減少した。受験者数の小学校卒業者数に占める割合は一一・三%(昨年一一・四%)で、昨年より〇・一ポイント下がった。近畿圏ではほぼ十人に一人が中学受験をしていることになる。
 受験者減少に伴い、今春、男子難関校は志願者が微減したところが多かったが、これは自然減とみられる。
 その中で灘は微減、甲陽学院はほとんど変わらず、甲南、東大寺学園では増加した。女子難関校は、昨年、人気が高くなったことの揺り戻しか、志願者を自然減以上に減らした。一校当たりの試験実施回数は首都圏に比べて少なく、大半は二〜三回。試験日を後にずらしても受験生がそれほど集まらない傾向があるからのようだ。
 府県別で見てみると、京都で志願者が増えたのは、男子校では東山・後期など。洛星は志願者数は減らしたものの人気に変わりはない。女子校で志願者が増加したのは平安女学院、ノートルダム女学院・前期Tなど。平安女学院は今年から立命館大学と提携した「立命館コース」が新設され、その分が志願者増となった。共学校では龍谷大学付属平安(旧名・平安)が大学付属となって大幅増。京都学園・A前期、大谷などで増加した。立命館は後期入試で百人ほど増えた。
 京都市内の公立中高一貫校の志願者数を見ると、府立洛北高附属は微減、市立西京高附属と、府立園部高附属は微増だった。昨年は三校とも減少していたが、今年は志願者が少し戻った。
 大阪では、男子校で志願者が目立って増えたところはなかったが、大阪星光学院、明星、清風、高槻は減少したものの志願者は変わらず多かった。女子校では金蘭会が日程を増やしたぶん志願者を増やしたほか、プール学院、梅花が微増、帝塚山学院、聖母被昇天学院が増加した。帝塚山学院は関西学院大学と提携した「関学大」と、「医・歯・薬」、「総合進学」にコース分けし、二十二日の入試で志願者が増加した。共学校で志願者が増加したのは、開明、浪速、関西大学第一、近畿大学附属・後期など。
 特に開明は@後期・Aの入試で志願者が倍増しており、これは共学一期の卒業生が難関国公立大合格を伸ばしたからとみられる。新設の桃山学院は三回入試を行い四一〇人の志願者だった。
 国公立では、大教大附属平野が大幅増、今年四月開校の大阪市立咲くやこの花は、八十人の定員に千百人以上の志願者が集まった。


試験欠席率は低下傾向
受験生を増やした寮持つ私学の県外入試


 兵庫は、男子校では志願者の大幅増はなかったものの、入試当日の欠席率は低下傾向にある。それだけ受験校の絞り込みが厳しくなったといえる。例えば、十九・二十四日に入試をした灘は、志願者数が五六八人(昨年五八〇人)で微減したが、欠席者数も昨年より減少しており、受験を絞り込む傾向が強まっていることがわかる。志願者が増加したのは甲南、関西学院・Bなどだった。女子校は、甲南女子、小林聖心女子学院、賢明女子学院で増加。武庫川女子大附属は「スーパーサイエンス」など三コース制を導入して昨年人気となり、今年は志願者数こそ微減したものの人気は続いている。
 共学校で志願者が増えたのは、雲雀丘学園、滝川第二、須磨学園、神戸龍谷など。雲雀丘学園は「一貫選抜」「発展」とコースを分け、さらに入試日程を一日増やして二十五日にも実施し、志願者が大幅増となった。
 奈良は、男子校の東大寺学園がここ二年志願者が減少傾向だったが、今年は増加に転じた。女子校では育英西が、やはり立命館大学と提携して志願者を増やした。共学校では、帝塚山、智辯学園で増加した。奈良学園は昨年の大幅増の志願者数を維持、特に二十三日のC日程で約一〇〇人増加した。小中高十二年間一貫教育を掲げて新設された奈良学園登美ケ丘は、三回入試を行い八七〇人ほどの志願者を集めた。
 滋賀では、昨年開校した立命館守山が「一般」の志願者は減少したものの「かがやき」入試はほぼ同じだった。
 和歌山は、女子校の和歌山信愛女子が入試日程を一回増やし、その分、志願者が増加した。共学校では、開智、智辯学園和歌山ともに後期日程で大幅増加した。
 今年の特徴の一つが、近畿圏統一入試に先立って行われる岡山県の中学入試が、本校以外の会場でも行われ、多くの受験生を集めたことだった。清心は本校と姫路会場で入試を実施、岡山理科大附属も本校・姫路で入試を実施した。岡山中は本校と姫路・大阪で入試を行い、すべての日程・会場を合わせて二千人を超える志願者を集めた。
 ただ岡山中の場合、日能研の推定では実質倍率は前期一・三〜一・一倍、国医コースで一・九〜一・八倍としている。この影響で岡山白陵は志願者を大幅に減らしたが、返って合格点は高くなったようだ。

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