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記事2008年3月3日 2092号 (5面) 
新校長インタビュー (156) ―― 慶應義塾中等部
部長 斎藤 慶典氏
慶應義塾の伝統継承
自分で考え、責任で行動



 慶應義塾中等部(斎藤慶典部長、東京都港区)は一九四七年に創立された比較的新しい中学校だが、慶應義塾の一貫教育校として、その伝統を受け継いでいる。「戦後民主主義の下でどのように自由を根づかせたらいいのか、いかに自由を身につけた生徒を育てるかという課題に取り組んできました。その基本は、各々の状況に何がふさわしいかを生徒が自身で考え、行動し、それに対して責任をとるということです」と斎藤部長は基本的方針を語る。
 中等部は慶應義塾で男女共学をいち早く取り入れているが、同時に、生徒を独立した人格とみて、教員と生徒は対等な人間であるということを強く意識しており、創立当初より教壇がない。それは、教員が学業を一方的に生徒に授けるという意識を取り払い、授業を通して、生徒も教員もともに学んで成長していくということを意味する。慣習として、生徒が教員を「さん」付けで呼ぶことや、「守るべきこと・知っておくべきこと」はあっても校則に当たるものはないことは、その精神の表れだ。
 斎藤部長は「自由とは、本当に自分のやりたいことを発見し、実行に移す能力のことだと思います。学校は、その能力を養う環境を与える場です」と持論を述べた。
 中等部の教育方針は多彩な教育プログラム、ユニークな活動など学校行事に支えられている。
 二、三年次には週二時間、普段授業では取り上げない内容などを選択授業で実施している。
 また、球技を中心とする学年ごとの校内大会、林間学校、英国への海外研修旅行(希望者のみ)、陸上・団体競技などをクラス対抗で行う運動会、英国ホカリル校生徒の研修受け入れ、各学芸部を中心とした展覧会、クラスごとの音楽会(三年生は創作曲)など、中等部を代表する行事が多い。生徒会総会は、全生徒が一堂に会し、学校生活をよりよくするための意見を集約し、学校に呈示する。
 同窓会の活動も活発で、中等部ひまわり奨学金は、授業料など経済的に学業を続けていくことが困難な生徒のために、資金面での支援もしている。
 斎藤部長は慶應義塾大学文学部教授(哲学博士)を兼ねている。専門はヨーロッパ現代哲学。

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