こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2008年3月23日号二ュース >> VIEW

記事2008年3月23日 号 (1面) 
中教審留学生特別委が会合
入学前の日本語教育など
30万人計画実施の課題検討
 中央教育審議会大学分科会留学生特別委員会(座長=木村孟・大学評価・学位授与機構長)の第二回の会議が、三月十八日、東京・一ツ橋の学術総合センターで開催され、「今後の留学生交流の在り方について」議論された。
 最初に文部科学省から「『留学生三十万人計画』の骨子」をとりまとめるにあたっての検討課題(案)の説明が行われ、日本から見た留学生交流の意義について、人材育成を通じた国際貢献や国際親善、外交戦略の展開、日本文化の発信、また労働市場に優秀な人材を確保することなどが挙げられた。高等教育機関にとっては、国際的な通用性・共通性や国際競争力の強化、国際的評価の向上、少子化に対応した経営安定化が図れる、などとしている。また、留学生および留学生を送り出す国の立場から見た日本留学の意義についても述べられ、それらに基づく「留学生三十万人計画」の具体的な姿と検討事項が提示された。
 委員からは、以下のような意見があった。
 現在でも留学生の九割は私学が担っており、私学への国の支援が必要だ。奨学金も弱いし、経済界の協力も必要、世論の喚起もかかせない、留学生を支える制度・システムなどにも投資する必要がある。制度面の課題として、三十万人規模の留学生を呼び込むためには、大学等に入学する前に日本語教育をするシステムを制度化しなくてはならない。実際に学生生活を送る段階では、住宅など生活面でも支援すること。卒業後、日本での就職は可能なのかという問題もある。また大学院進学者も多いが、日本では博士の学位の出し方にばらつきがあり時間がかかる、これでは海外のそれと競争できない、などの意見があった。
 海外へのPRの方法についても、ブリテッシュカウンシルが日本の大学において自国の大学についての説明会を実施しており、日本でもそうしたことができないかとの提案があった。
 留学生が求める学位については、今回、制度改正で日本でも複数大学によるジョイントディグリーが可能になるが、これに海外大学は含まれておらず、ヨーロッパではボローニャプロセスに基づきEU域内の高等教育機関の互換性を高めるための共通化が進んでいる、こうしたことが日本でも検討できないか。さらに、三十万人ともなれば、パラダイムの変換が必要であり、優秀な学生確保のために国費留学生を残しつつ、日本文化を学びたい層や日本での就職を望む層などのために、それぞれの目的に合わせた制度を作る必要がある。
 留学生の質の確保については、日本語学校等で急激に中国からの留学生が増加し質の問題が起きたが、この問題は現在、日本語教育振興協会と中国側で協議し、中国の教育学位センターから公的試験の成績証明を直接日本の学校へ送付してもらうことで解決した、こうした制度を開発することだ大事だ。一方、海外では逆に日本の偽学位が問題になっている、日本側の質保証の制度も整える必要がある、など様々な意見が上がった。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞