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記事2008年3月13日 号 (2面) 
私学への影響大きい公立高2次募集
生徒収容対策会議で報告
私立高生手続き後に大量流出
公立高校全県一学区化は依然拡大
日本私立中学高等学校連合会(田村哲夫会長=渋谷教育学園理事長)は、二月二十八日、東京・市ヶ谷の私学会館に都道府県の私学協会長ら約五十人を集め、「平成十九年度全国生徒収容対策会議」を開催した。同会議は、中学校卒業者数の長期低落傾向が続く中で、公立高校の入学者選抜の改革動向や生徒受け入れをめぐる公私立高校間等の折衝状況等について情報交換、意見交換を目的に毎年一回開かれているもの。中高連の調査結果や都道府県代表者らの報告によると、複数の県の私学関係者は公立高校の二次募集等に苦慮していることなどが分かった。今年の会議も生徒募集における公立高校の攻勢を感じさせるものとなった。
 公立高校の二次募集は、二月上旬から中旬にかけて行われる推薦入試、二月中旬から三月上旬に行われる一般入試の第一次募集では募集定員を満たせなかった公立高校が三月下旬に行う生徒募集。選抜日、発表日が三月下旬と遅いことから、私立高校に入学の手続きを済ませている生徒が受験し、新学期直前の三月末になって大量に私立高校の入学予定者が入学を辞退するという事態も生じている。出席者からは、「多い学校では六十人も引き抜かれた」「特進クラスの半分以上の生徒を取られたケースも」などの報告が聞かれた。同連合会が行った調査結果では、各都道府県の私学協会の懸案事項や課題とする事項で、複数の県が「公立高校の二次募集」「公立の再募集の際、私立の入学予定者が数名抜ける。再募集の撤廃を求める」「公立の二次募集で私立の入学予定者が大量に引き抜かれること」などが挙げられている。公立高校の受験機会は現在、拡大の傾向にあり、大半の県では三回、東京や愛知のように四回というところもみられる。また公立高校の中には定員オーバーの学校もあり、公立高校の学区が撤廃されて全県一学区となることと合わせて私立高校にとって大きな問題となっている。
 こうした公立高校の動きの背景には、地盤沈下していた公立高校を復権したいという公立学校関係者の思いがあるようで、公立中等教育学校の設置拡大もそうした流れの一つといえる。中等教育学校は学力検査を行わないこととされているが、同連合会調査では、大半の県で適性検査と称し学力検査が行われており、保護者も進学実績に対する期待を強めている。公立高校の受験機会が増え、選抜方法も多様化したことから入学者選抜は複雑化、長期化している。首都圏では私立高校側が入試日程を一定期間内に集約するべきだとの呼びかけが行われているが、まだ実現はしていない。公私立高校間の授業料等格差は約六倍。厳しい格差の中で大半が税金で運営される公立高校の改革≠ヘ私立高校にとっては厳しいものとなっている。
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