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記事2008年3月13日 号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
高大接続テストに懸念の声
荻上WG座長らが実施への理解求める補足説明
【大学分科会制度・教育部会等】
中央教育審議会大学分科会の制度・教育部会および学士課程教育の在り方に関する小委員会の合同会議が三月七日、東京・三田の三田共用会議所で開催され、「学士課程教育の構築に向けて」(審議のまとめ)(案)が提示された。
 この中に記述されている、高等学校と大学との接続の在り方の見直しについては、「高等学校と大学との接続に関するワーキンググループ」(以下WG)での議論が終わり既に二月に「審議のまとめ」が小委員会に報告されているが、その中で提言された「高大接続テスト(仮称)」の考え方についてWGの委員から提案の経緯について補足説明が行われた。大学全入時代を踏まえた大学入試方法の見直しや、学力把握のための既存指標の課題、高校における学力把握・指導改善の必要性などが主な内容。これに対し複数の委員から、屋上屋を重ねることにならないか、親や子どもに負担を強いるのではないか、など懸念する意見が出た。
 これに対しWG委員らから、明らかに勉強しなくても大学に入れる状況があるのが問題だ、例えばアメリカの場合、学力を外的基準によって測り、大学のレベルに合わせて入学者の選抜をしている、想定しているテストは高校三年修了時の学力ではなくもう少し低いレベルでのもの、学習成果を客観的に測るマイルストーン(里程標)だ、などと説明があった。荻上紘一・同WG座長らの補足説明資料が提出されている。
 審議のまとめ(案)の「教育課程の編成・実施」の部分に盛り込まれている、国公私立大学が共同で教育課程を設置することについては、新制度「共同学部・共同大学院」(仮称)を創設するとして、制度概要(案)と骨子(案)が提示された。それによると、「共同学部・共同大学院」(仮称)制度は、国公私立大学を通じて複数の大学が共同で教育課程を編成・実施する。
 その課程の修了者には構成大学が連名で学位を授与することになるため、各構成大学は一定以上の必修科目を開設するなど、共同で教育課程を分担しなければならない。学部、研究科等の組織については各大学に置く、などとなっている。
 この新制度(案)が認められれば、文部科学省は、制度創設に向け、大学設置基準(省令)等を改正し、必要教員数の算定の特例を設けるとしている。
 平成二十年夏ごろに省令改正を行い、二十一年には設置認可等の手続き(手続きは現行制度を基本とする)を行い、設置は二十二年四月からを予定している。委員から、通信制の大学や海外の大学との共同設置も可能なのか、との質問があり、文部科学省は、学校教育法の枠組みで検討しており、海外の大学は想定外、と回答。県域を越えての設置については、縛りはないが実際に学生が通うにはどうか、などと答えた。
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