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記事2008年3月13日 号 (6面) 
ユニーク教育 (183) ―― 文化女子大学附属杉並中学・高等学校
建学の精神「感動の教育」実現
「わかる授業の徹底」進める
 文化女子大学附属杉並中学・高等学校(野原明校長、東京都杉並区)の中高一貫教育は、六年間を四年と二年に分ける「四・二年制」を実施しており、着実に成果を挙げている。最初の四年間で基礎学力を徹底的に修得し、なぜ学ぶのか≠考えさせる。すべての基礎となる「学ぶ力」を身につけた上で、最後の二年間で基礎を応用し、生徒一人ひとりが将来を創造していく。これが同校の基本的なコンセプトだ。
 同校は建学の精神である「感動の教育」を実現すべく、「わかる授業の徹底」を強力に進めている。「自分の中で『感動』がはじけたとき、人は輝きます。授業がわからなくて、何に感動するのかという基本的考え方に基づいています」と、野原校長は「わかる授業」の大切さを説く。
 さらに、日常の学校生活のさまざまな場面で、「自ら考える力」を育成している。全校集会で、野原校長の話の要約と感想を書かせるクラスが多くなってからは、生徒たちはきちんと話を聞けるようになり、自分の意見を持つようになってきた。決して、授業に限らず、普段から「自ら考える力」の育成に努めている、一つの表れと説明する。
 最初の四年間のうち、中学一・二年の基礎力獲得期、中学三・高校一年の基礎力拡充期を通して、(1)学ぼうとする力(意欲)、(2)学ぶ力(学習方法)、(3)学んだ力(知識・技能)――を合わせた学力を身につけさせる。高校二・三年を応用力練成期と位置づけ、難関大学進学を目指す「特別進学」、英語のエキスパートを目指す「英語」、文化女子大学をはじめ多方面への進学を目指す「総合」の三コースに分かれる(但し、高校一年で特別進学、英語の各コースに入ることもできる)。
 この方針の下に、中学では特に英語に力を注いでいる。いきなり教科書に入るのではなく、入学当初はフォニックスの学習で、単語のつづりと発音の関係から勉強を始めている。また一クラスに二人の外国人教師がついて教える英会話の授業では、使える英語の養成を目指している。その成果が目に見えて表れ、「私立中学英語レシテーション大会」では、中学二年生が二年連続で優勝するなど上位を占めるまでになっている。
 野原校長は、日ごろから生徒たちに、学校でも家庭でも本を読むことを奨励している。これも「自ら考える力」をつけさせるためだ。
 解釈が求められる問題では、教師が授業で生徒に自分の解釈を押し付けるのではなく、さまざまな解釈があることを教えなければならない。そうでなければ、PISA(OECD生徒の学習到達度調査)のような問題には対応できないと指摘する。「覚える問題はできても考える問題はできません。PISAの成績からもわかるように、日本の子供はどうして解決したらいいのかという問題になると放棄してしまいます。学校で教えてもらわなかった問題に対して、どのように解決したらいいのか自ら考えることが一番大事なのです。そのためにも、考える習慣をつけさせる必要があります」。
 また総合的な学習の時間」で、「自分とは何か」「どのようにして生きるのか」という本質的なテーマで、「実践的な学習を展開している。人生の「なぜ?」を模索しながら、「自ら考える力」を身につけさせるためだ。各クラスの担任が授業を受け持っていることが特徴だ。
 考えることの楽しさ、尊さを学び、そして「わかった」という感動を得る生徒が同校に確実に増えており、総合的な学習を縮小することはないという。
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