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記事2008年3月13日 2093号 (3面) 
私立短大の挑戦 (4) ―― 宝仙学園短期大学
特色GP 『保育者養成における平和教育―韓国保育研修』
保育学科 ソウル市内の園で保育実習
言葉の壁超え交流
  私立短期大学を取り巻く環境が厳しさを増している中で、ユニークな教育活動を行うなどで評価を高めている短期大学の取り組みを、文部科学省の平成十九年度「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」「特色ある教育ニーズ取組支援プログラム(特色GP)」に採択された中から、幾つか紹介していく(編集部)。

 「近くて遠い国≠近くて近い国≠ノ」と、韓国・スンイ(崇義)女子専門大学のホン・スンカン名誉教授は「平和と保育フォーラム」の対談の中で何度もそう言った。
 このフォーラムは宝仙学園短期大学(山崎守一学長、東京都中野区)の平成十九年度特色GPに選定された「保育者養成における平和教育―韓国保育研修」の一環として、東京・有楽町の国際フォーラムで二月二日に開催された。ホン名誉教授は、韓国保育研修に尽力してきた人の一人である。
 交流の始まりは、昭和五十一年に結成された同短大卒業生による劇団「ザ・ほっぴい」主宰の故・清水俊夫教授が、国際人形劇連盟(UNIMA)の総会(米国ワシントンDC)で居合わせたUNIMA韓国会長のイ・キョンヒさんから「韓国の子供たちにも人形劇を」と頼まれたことだった。当時、韓国では反日行動が頻発していた。その中で昭和五十五年に訪韓公演が実現。以来、この公演は恒例となり、この交流の中から昭和六十三年、韓国保育研修が初めて実施された。以来、平成十九年度で二十一回目を迎える。
 現在、韓国保育研修は保育学科二年次後期の専門教育科目「国際理解教育」の総合演習に位置づけられている。
 「平和と保育フォーラム」では、昨年十二月に実施された二十一回目の韓国保育研修の様子がビデオ上映された。
 十二月二日、ソウルへ出発。日程は六日間。
 三日、午前。最初の訪問先はソウル市郊外の、新設されたばかりのアラン幼稚園。学生たちは施設を見てまわった後、実習に参加。日本で準備してきた手遊びを披露した。これを切っ掛けに子供たちと打ちとけた。
 午後、テジン(大真)大学児童学科の学生との教育交流会が開かれた。お互いの国の手遊びや人形劇を披露しあった後、グループに分かれて交流。日本語、ハングル、英語が飛び交った。
 四日、中心的カリキュラムである幼稚園実習が行われた。午前は、ソウル市内の複数の私立幼稚園に分かれて教育実習。にぎやかな子供たちの歓声が上がる中、学生は身振り手振りでコミュニケーションをはかる。話しかけてくる子供の言葉が分からず戸惑う学生に、子供がその学生の手を引いて物を指し示す場面も見られた。
 午後は、保育実習体験を共有するためのグループミーティングが行われた。言葉の壁をどのように超えたか、保育を通しての国際交流のあり方などについてまとめ、全員の前で発表する。この日は、児童福祉に関する特別講演も開かれた。


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