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記事2008年2月3日 2089号 (4面) 
産学連携 (8) ―― 文京学院大学
関東ニュービジネス協議会と包括提携協定締結
21世紀の新ビジネスの担い手育成

 文京学院大学(島田Y子学長、東京都文京区)は昨年十一月十五日、同大学で関東ニュービジネス協議会(=NBC、池田弘会長、東京都港区)と、「ニュービジネス育成やアントレプレナー養成及びマネジメント領域の学術研究の発展、さらに関連する施策の推進のため相互協力を図り、産業界における新たな人材の育成と地域社会の発展に寄与することを目的」に包括提携協定を締結した。



「自立と共生」理念に
25歳からの新しい起業家養成

 同大学はもともとインターンシップ教育に力を入れてきた。例えば経営学部では、すでに十年ほど前から着手しており、現在では、首都圏の企業や自治体で短期の企業実習を行うほか、三カ月にわたる長期のインターンシップ教育にも取り組み、その実習先としては海外のホテル等も組み込まれている。また、地域連携教育にも力を入れており、文京区や埼玉県ふじみ野市の小中学校でも授業サポート等の社会貢献実習(学校インターンシップ)が展開されている。当初から同大学では企業に学生を預けるだけでなく、大学の責任において、オリジナルな発想で学外の連携に取り組んでいる。今回の協定により、ベンチャー分野におけるインターンシッププログラムの更なる強化につながることは間違いない。
 「現在の本学の産学連携は明らかにセカンドステージに入っています。学生・大学・企業等がWIN・WIN・WINの形になるような新しい仕掛けと工夫の真価が問われる時代となっています」と意欲を示すのは、インターンシップ教育や産学連携に携わってきた櫻澤仁・経営学部教授だ。
 NBCとの提携の基本的な考えを「新しい経営学教育の推進」と「二十五歳からの新しい起業家の育成」に置き、「いろいろな発想で二十一世紀の新しいビジネスの担い手の育成に着手すること」を狙いとしている。

経営学部開講科目の共同運営化
セミナー、シンポなど開催

 具体的な内容としては、主に(1)経営学部開講科目の共同運営化(NBCの冠講座化)と(2)ニュービジネス育成、アントレプレナー養成等に関する共同事業・共同研究の推進があげられる。
 (1)については、今年度すでに、経営学部三年生向けに開講している科目「起業と事業創造」で、講師に二人の経営者を招いた。経営者自ら自社の事業展開・動向を説明した上で学生たちに同社向けの新規事業展開プランを考えさせ、その後にディスカッションを行っている。
 来年度は、二年生向けに開講している科目「ベンチャービジネス」に、若手経営者五人を迎え、「企業とは」「経営とは」などのテーマでリレー形式での講義が展開される予定だ。
 「二年前期の科目『ベンチャービジネス』がホップとしますと、三年後期の科目『起業と事業創造』はジャンプにあたります。二年後期に実施するインターンシップはまさにステップの段階。この一連のカリキュラムが大きな成果をもたらします」と櫻澤教授は説明する。
 今年度NBCから招いた経営者の講義内容は学生からの評判もよく、すでに学生・経営者・教員間でいい関係が築かれていると言えそうだ。
 また、(2)このような領域で、さまざまなシンポジウムやセミナーの開催、学生向けコンペの共催等が予定されている。この取り組みの対象は学生にとどまらず、民間企業で働いているが「二十代後半には起業したい」と考えている若者に対しても、さまざまな角度から支援していくような人材育成プログラムを共同で推進していくことも視野に入れている。また、実績を残すためにも、同大学でのNBC関係者の講義や共同プログラムの成果などを体系化した専門書の出版化を考えている。
 さらに、ユニークなインターンシップメニューとして考えられているのは、「社長のかばん持ちコース」の設置だ。社長と三カ月ほど行動をともにし、経営者とはどういう仕事をするのか、経営とは何か、など実際の現場から学ぶのを狙いとしている。
 「本大学の建学の精神は『自立と共生』です。企業・社会とのコラボレーション能力が上手にいくかどうかが、大学の存在意義に大きく影響すると考えています。その意味でも産学連携は、実績を持つもの同士が提携する形でなければなりません。目指すべきは他大学の模範となるような連携。経営学部を皮切りに全学的な取り組みとして実績をつくっていきます」(櫻澤教授)
 同大学は、これからの新しい産学連携づくりに向けて着実な第一歩を踏み出している。

協定を結んだ島田学長(右)と池田会長(左)

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