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記事2008年2月3日 2089号 (6面) 
ユニーク教育 (182) ―― 東急自動車整備専門学校
近隣の清掃活動で地域貢献
豊かな人間性と創造性涵養

野邊校長

 東急自動車整備専門学校(野邊耕造校長、東京都世田谷区)は公式行事として、七月、十二月、三月の年三回、同校近隣および多摩川河川敷の地域清掃を実施している。この清掃活動は地域貢献として名物となっている。
 「地域清掃活動」は、同校の教職員が、二〇〇〇年「日本を美しくする会」主催(相談役=鍵山秀三郎・株式会社イエローハット創業者)の清掃全国大会に参加したときに、同社の社員を対象に「車両構造研修」を実施したところ、同社が返礼として、教職員とともに同校の清掃を行ったのがきっかけだった。この清掃活動を通して、学生や教職員が得るものが多いと実感したのだ。
 同校は自動車についての専門知識・技術だけではなく、教育理念である「豊かな人間性と創造性」を兼ね備えた即戦力としての人材の育成に取り組んでいる。「地域清掃活動」はこの理念の基に、地域社会に貢献するとともに、学生にこれから自動車業界から求められる整備士として、また、どのようなときでも責任ある行動ができるような社会人になるための一環として行っている。
 清掃は同校の全学生約百人と教職員十人ほどが、(1)二子玉川駅から学校までの間、(2)上野毛駅から学校までの間、(3)二子玉川駅から第三京浜橋梁(きょうりょう)までの多摩川土手の三コースで、一時間かけて行う。ごみ、空き缶やたばこの吸い殻など収集し、地域住民から喜ばれるようになっている。
 この活動は、地域貢献として世田谷区から評価され、二〇〇六年十一月に「世田谷区青少年関係者表彰式」(世田谷区主催)で表彰された。
 同校では「地域清掃活動」のほかに、外部から講師を招きビジネスマナー研修を行い、人間性養成、社会人としての知識やマナーを修得している。
 カリキュラムは、即戦力となる人材養成のために組まれている。少人数での実習を重視し、基礎学習を中心に多種多様の車や機材を用いて、車一台を四人以下で取り組んでいる。一年次では、前期・基本作業として、自動車の各部を分解し名称・作動などを学び、正確に作動するように組み立てる方法を学ぶ。後期・整備作業では、エンジン・トランスミッション・クラッチ・ブレーキなどを取り外し、分解・組み立て・調整などまでのすべてを学ぶ。二年次では、実習重視の授業(車検整備・定期点検・故障診断・原因の探求など)が行われる。
 卒業と同時に、二級ガソリン自動車整備士、二級ジーゼル自動車整備士、二級二輪自動車整備士の受験資格が得られ、実技試験が免除されている。少数で実習重視の取り組みは、二級整備士国家試験合格率が平成十年から十九年までの十年間で平均九七%という実績に表れている。
 「本校は車の知識や整備技術だけではなく、教育理念に基づく人材育成に努力しています。『地域清掃活動』を通して、ボランティア精神を学んでほしいと思います」と今村吉則氏(庶務課)は、学生と教職員が一緒になっての地域貢献に期待をかけている。

学生と教職員が一緒になって行う清掃

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