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記事2008年2月23日 2091号 (1面) 
文部科学省 学習指導要領改訂案を公表
授業時数を増加
知識・技能の活用力重視
 文部科学省は二月十五日、学校教育法施行規則の一部を改正する省令案と幼稚園教育要領案、小学校学習指導要領案、中学校学習指導要領案を公表した。同省では三月十六日まで電子メールやFAX等で意見公募をした上で、三月下旬には新しい学習指導要領等を官報に告示、平成二十一年四月から新幼稚園教育要領を施行、小・中学校の移行措置(先行実施)を開始。また二十三年四月から新小学校学習指導要領を全面実施、翌二十四年四月から中学校の新学習指導要領を全面実施する。

 今回の学習指導要領等の改訂は、教育基本法の改正を受けて知識基盤社会の時代の中で「生きる力」を支える「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」の調和を重視。
 また改正法に新たに規定された公共の精神や伝統や文化の尊重などを踏まえて、伝統や文化に関する教育(国語科での古典、社会科での歴史学習、音楽科での唱歌・和楽器、美術科での我が国の美術文化、保健体育での武道の指導などの充実)や道徳教育(先人の生き方や自然、伝統と文化、スポーツなど児童生徒が感動を覚える教材を活用)、体験活動(集団宿泊活動や自然体験活動、職場体験活動)等を充実した。
 また基礎的・基本的な知識・技能の習得を重視、同時に知識・技能を活用する学習活動(観察や実験、レポートの作成、論述など)を充実、思考力・判断力・表現力等を育成する。さらに、あらゆる学習の基盤となる言語の能力について、国語科にとどまらず各教科で言語能力の育成(記録、説明、論述、討論など)を重視している。科学技術の土台である理数教育も充実、国際的な通用性や内容の系統性、小・中学校での円滑な接続を踏まえ指導内容を充実する。
 外国語教育も重視、小学校五、六年生で外国語活動を導入(週一コマ)、中学校で語彙数を九百から一千二百に引き上げる。
 各学校段階の改訂のポイントをみると、幼稚園の教育要領改訂では、規範意識や思考力の芽生えなどに関する指導を充実、幼小の連携(教員の相互理解、幼児と児童の交流)を推進する。また保護者の幼児期の教育の理解を深めるための活動を充実、預かり保育の具体的な留意事項を示し、子育て支援の具体的活動を例示している。
 小学校学習指導要領改訂では、授業時数を一学年で週二コマ、二学年で週二コマ、三〜六学年で週一コマ増加。新設される外国語(「英語」が原則)に関しては、身近なコミュニケーション場面(挨拶・買い物・食事等)について音声面を中心にネイティブスピーカー等とコミュニケーション活動を行い、コミュニケーション能力の素地を育成。また外国語と日本語の違いや、生活・習慣の違いなどを学習する。
 中学校学習指導要領改訂では、朝の十分間に行われるドリル学習等も授業時数に算入できる旨が規定され、数学では発達や学年の段階に応じた反復指導を充実、小・中学校間でも指導内容を一部重複させる。
 技術・家庭ではデジタル作品の設計・製作や幼児との触れ合いに関する内容をそれぞれ必修化する。
 現行の九教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間という構成はかわらないが、選択教科は標準授業時数の枠外で開設可となった。全体の授業時数は週一コマの増加。
 一方、学校教育法施行規則の一部を改正する省令案に関しては、(1)小学校と中学校の標準授業時数の改正(2)構造改革特別区域研究開発学校設置事業を総理大臣の承認ではなく、文部科学大臣の指定でできるようにする改正。一定の要件を満たしていれば、教育課程編成・実施の特例措置を認めるというもの。
 高校の学習指導要領改訂案は平成二十年度に入ってから公表される。
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