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記事2008年2月23日 2091号 (3面) 
高校の看護教育に関する検討会が初会合
5年一貫課程の成果を検証
課題に対応し充実策検討
 高等学校での看護教育の成果を検証し教育の充実方策等を検討しようという文部科学省の「高等学校の看護教育に関する検討会」の第一回会合が二月十八日、都内で開かれた。
 初会合では高校と専攻科を組み合わせた五年一貫の看護師養成課程が看護師国家試験で平均を上回る合格率を達成するなど成果を挙げているとの報告の一方で、卒業時の能力不足を指摘する意見や大学等で行われている看護師養成が中等教育段階でも行われていることに疑問を投げかける意見も聞かれた。
 また高校関係者からは生徒の看護職に対する意欲の高さや、看護教育を担当する教員不足等が報告された。そのほか高校専攻科修了者に専門学校卒業者と同様に大学編入学を認めるべきだとの意見も聞かれ、同省の安藤慶明参事官は、同会議に編入学問題も含めた検討を要請した。
 高校の看護教育(五年一貫)を見直すのは、制度創設時に卒業生が出た段階で見直しが求められていたため。同会議では成果の検証を客観的に行ったうえで、高校看護教育の充実・発展に軸足を置いた審議を進めていく方針だ。
 検討会は今後、関係団体や卒業生の受け入れ病院等からヒアリングを行いつつ、(1)高校における看護教育は適切に行われているのか、これまで果たしてきた役割、それらの検証方策(2)高校の看護教育の現状や近年の看護を取り巻く状況等を踏まえた高校看護教育の課題、課題に対応し高校看護教育を一層充実する方策を検討する。
 このうち(1)では、看護師国家試験の合格率、地域への就職率、定着率や離職率等を検証する予定。(2)では、教育環境等の充実、魅力ある学校づくり、更なる専門性の深化や更なる資格取得のための方策等を検討する予定。
 同検討会の委員は十五人。看護系大学の学長や教員、日本医師会や日本看護協会の関係者、大学病院長、県教育長らのほか、看護高校からは佐藤仁作・全国看護高等学校長協会理事長、千葉県立幕張総合高校教頭、愛知県立宝陵高等学校教諭が参加している。
 初会合では座長に中島紀恵子・新潟県立看護大学長が選任された。
 高校の看護教育の現状に関しては、同省の大橋泰久・教科調査官(看護担当)が五年一貫の看護師養成課程の平成十八年度卒業生(五年一貫課程創設後初の卒業生)の看護師国家試験合格率が九二・二%で、看護師国家試験全体の合格率九〇・六%を上回り、大学や短大の学生と遜色ないことや、資格取得と直接結びついていない高校の看護進学課程(高校卒業後、看護系大学等に進学する)の卒業生でも大半が看護系の進路を選択していることなどを説明した。
 このほか会議ではNHKで放送された看護高校生が懸命に看護師国家試験に挑戦するドキュメンタリーが上映された。
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