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記事2008年2月13日 2090号 (1面) 
次回以降数値目標を検討
教職調整額近く見直しの検討会議
 意見書によると、約二十年後に実現すべき大学教育像は、(1)国境や年齢の壁を破り、多様な学生を迎え入れ、確実な「学習成果」を達成する(2)個性化・特色化を徹底し、教育の卓越性を追求する(3)若者が意欲・能力に応じた進路を選択し、生涯を通じて大学の産み出す「知」にアクセスすることを実質的に可能とする(4)大学の教育力を飛躍的に高める基盤をつくる(5)多様な大学教育の「質の尺度」を開発し、大学評価を強化する――という内容。こうした大学教育の新しい姿を実現するため、できる限り速やかに年間五兆円以上の教育投資や寄付税制等の環境整備が必要としている。
 二〇二五年の学生数については、二〇〇七年の一・三倍に当たる三百七十五万人を目標とし、大学・短期大学への進学率については六二%を前提としている(現在は五四%)。その中でも特徴的なのが社会人学生数で、現在の約十五倍に当たる七十五万人への拡大を想定している。二〇二五年の高等教育費の総額については、私費負担を含め十一兆二千億円(現在は六兆三千八百九十八億円)と算出、そのうち公財政支出については現在の約二兆六千三百億円の二倍強に当たる五兆五千億円としている。内訳は大学等への基盤的支援が三兆円、大学等への選択的支援が一兆五千億円、大学等への重点的支援が五千億円、学生への経済的支援が五千億円としている。また高等教育費全体に占める公財政支出の比率も五〇%(現在は四一%)に拡大する。
 課題はそうした財源をどう捻出するかだが、意見書では財源には言及していない。
 この日の部会の冒頭でも文部科学省が歳出改革等の現状を説明したほか、委員からは政府が現在進めている歳出改革(十九年度―二十三年度)、人件費改革(十八年度―二十二年度)と教育振興基本計画(平成二十年度―二十四年度)との関係についての質問も出された。文部科学省は、最終的には政府内の調整となると回答するなど、教育振興基本計画の財源的裏づけは今後の課題のようだ。このほか教員の教職調整額に関する質問も出され、文部科学省からは近く検討会議を立ちあげ、時間外手当化を含めて平成二十年度一年間をかけて検討する方針などが説明された。次回の部会では答申素案が提示され、数値目標も含めて審議される予定。先月の中教審総会で渡海紀三朗文部科学大臣は教育振興基本計画については三月末までの答申を求めており、今後急ピッチで審議が進められる見通しだ。
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