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記事2008年12月3日 2118号 (2面) 
看護の質の向上と確保へ懇談会が発足
看護基礎教育の体制等見直し
来年1月には結論
  厚生労働省の「看護の質の向上と確保に関する懇談会」が十一月七日、同省内の会議室で、舛添要一・厚労大臣が出席して開かれた。
 看護職員不足の中で質の向上と量の確保の問題を同時に検討する懇談会で、都内での複数の病院での妊婦の受け入れ拒否による死亡事故が発生したことから懇談会を急遽開催することになった。
 懇談会では、今後、看護職員の需要の増加が見込まれることを踏まえて次期看護職員需給見通しの策定に当たり考慮すること、新人看護職員の離職を防ぎ、質を向上させる研修など質向上方策、医師と看護職員の協働・連携方策、看護基礎教育の体制、教育内容・教育期間等の見直し、看護職員が専門性を持ってキャリアアップできるようなインセンティブの付与など支援策を検討する。
 初会合では座長に田中慈・慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授を選んだほか、看護職員の質と量に関して、出席した十四人の構成員(構成委員は全員で十七人)が問題意識等を発表した。
 自由討議では構成員から様々な意見が出されたが、看護職員の養成に関しては複雑化した養成課程の整理の必要性を指摘する意見や、四年制課程の推進などをめぐって賛否の意見が聞かれた。
 また構成員からは、「看護師の『七対一基準』(患者七人に看護師一人)が看護師の全国的な流動化、偏在化を招き、一部で病棟の閉鎖に追い込まれる事態をもたらした」「看護師の養成校の大半は三年制。(厚労省は)四年制への移行の考えもあるのではないか。(四年制への移行は)どれだけの努力とお金がかかることか、考えてほしい」「治す医療から支える医療に変えていくことが大事」「現状では免許を持っている人がどこにどのくらいいるのか分からない。看護師も医師のように届出制にすべきだ」といった意見や、看護師の中での機能分化を進めるべきだとの意見も聞かれた。
 舛添大臣は四回の会合で来年一月中旬を目途に結論を出してほしいと要請、検討結果については国民の不安を払拭するため早急に政策に移す考えを明らかにした。また文部科学省に要望があれば言ってほしいとも語った。
 看護基礎教育のあり方をめぐっては、厚労省の「看護基礎教育のあり方に関する懇談会」が今年七月三十一日に十数ページからなる「論点整理」を公表し、終了しているが、そのときの座長は今回と同じ田中滋・慶應義塾大学大学院教授で、看護職員に求められる資質と能力などが提言されていた。

国民の安心確保のため提言は政策に移したいと語った舛添厚労相

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