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記事2008年12月13日 2120号 (1面) 
教職調整額作業部会が実質審議開始
教員の仕事内容等見直しへ
事務職、外部人材の活用など検討
 中央教育審議会初等中等教育分科会の下に設置されている「学校・教職員の在り方及び教職調整額の見直し等に関する作業部会」は十二月十一日、文部科学省内で四回目の会合を開き、実質的な審議を開始した。
 この作業部会は、学校に求められる役割の拡大や児童生徒等の変容等を背景に学校の業務、それを担う教員の負担が増えていることから、教職員の職務や教職調整額の見直し等を進めているもの。この日は、「今後の学校の在り方」を中心に議論したが、初めに同作業部会の小川正人主査(放送大学教授)が、自身が委員として参加、今年十月にまとめた静岡県教育委員会の提言『理想の学校教育の実現を目指して』を説明、その中で理想の学校実現には五年計画で総額約二千四百億円が必要などと説明したこともあり、財政面の議論等が行われた。
 委員からは「(ここでの議論は)今の予算の中でするのか、(新たな)財源措置を考えるかで話が変わってくる」「学校、教育委員会の業務を徹底的に見直していくが、それでもだめなら教育を受ける人にある程度の応分の負担を求めていくべきだ。(財政難から)私学依存に動いていく自治体もある」「何か(仕事を)頼むとき対価が必要だが、学校の教師にいくら要求しても費用がかからない。そこからの脱却が必要」などといった意見が聞かれた。また学校の増大した業務に関しては、「(外部に)委託できる部分が相当あると思う」「地域のマンパワーの活用がキーワードだ」「教職員の業務範囲の明確化が必要」「スクールカウンセラーの派遣事業は学校の負担軽減につながった。専門家の派遣が大事」「教員から学校事務職員への業務移管が課題」「学校と教育委員会の業務の整理も必要」といった意見が聞かれた。
 増大する学校業務への対応策案として文部科学省は、組織的な学校運営の推進、多様な専門人材、地域人材の積極的活用、業務の効率化、業務の削減、教育委員会のサポート体制の整備の五点を挙げたが、委員からは地方財政の悪化を背景に外部人材活用に対する財源措置の難しさを指摘する意見も聞かれ、また「地域人材をただで活用するのか」といった意見や学校選択制を採用している地域では地域に協力を求める難しさを指摘する意見もあった。
 最後に小川主査は、教師の仕事のありようを見直すこと、職務の範囲、分業が可能なものの検討、学校のマネジメント機能を高めていくことなどについて共通確認ができた、とし、来月中旬から教職員の職務の在り方(教員が果たすべき専門性、教職員の役割分担、専門的・支援的職員の配置、外部人材の活用、学校業務の効率化・ICT化など)の検討を進めていく考えを明らかにした。
 同作業部会は今後、一カ月に二回のペースでそのほか教員の勤務時間管理(残業時間縮減方策など)、勤務時間の弾力化(一年単位の変形労働時間制導入など)、教職調整額の見直しなどを検討することにしている。
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