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記事2008年11月3日 2114号 (2面) 
新校長インタビュー (169) ―― 文教大学付属中学・高等学校
校長 染谷 信一氏
基本理念は人間愛
江戸時代が舞台の小説生徒に奨励



 「よく生徒たちに言っていることで、一番大事なことは、本校の基本理念(校訓)人間愛≠ナす。これは、他人にしていただいてうれしかった言行は、他人にするように心掛けるということです。『他人を我が身と思う』(思いやる心をもつ)ということです」
 文教大学付属中学・高等学校(東京都品川区)の染谷信一校長は、「徳・知・体」の「徳」の部分を最初に強調した。
 この基本理念は、さまざまな生徒の活動に表れている。「インターアクト」クラブでは、多摩川のごみ拾い、上野動物園での迷子の対応、老齢者や障害者施設への訪問、さらにアフリカへ古着の送付など、図書委員会では古本を売買した売上金をユネスコへ寄付など、地道な活動をしている。
 染谷校長は、また、「徳」の部分で、司馬遼太郎、藤沢周平、池波正太郎のような江戸時代を舞台にした小説を読むことを生徒に奨励している。「江戸時代の市井で庶民の生活が出てくる小説には、人情の機微が表現されています。これを読書によって間接的に体験することが大事です。人間の気持ちは今も昔も変わらないと思うからです」と染谷校長は語る。
 同校の特徴は「進学校的付属校」を掲げていることだ。進学先は文教大学へ二九・五%、外部大学へ五二・一%などで、四年制大学へ現役進学は八一・六%を誇る。
 「今後は、さらに著名な大学にコンスタントに進学できるような学力をつけさせたいのです」と染谷校長は語る。
 国語・数学・理科・社会はじっくり丁寧に教えており、保健体育・音楽・美術・技術家庭・情報なども規定単位を守って教えている。高校二年からは、「特別進学コース」と「総合進学コース」に分かれる。
 「体」の部分では、クラブ活動を重視している。「中学一年から高校三年まで一緒に行っているのは、人間的な協調性を育成するために重要だからです」と染谷校長。
 九月二十七、二十八の両日、学園祭「白蓉祭(はくようさい)」が行われたが、卒業生が二百八十八人、父母が千五十九人来校した。学園祭を手伝う卒業生もいる。ここにも、同校の教育理念が表れている。
 「『徳・知・体』のバランスの取れた方針で、カリキュラムを誠実に実行します」と染谷校長は自信を持って答えた。

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