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記事2008年11月23日 2117号 (1面) 
教員養成課程の質向上 協力者会議が初会合開く
モデルカリキュラムの検討
課程認定制度運用も
 文部科学省は、教員養成の質的向上を図るための有識者会議「教員養成課程の質的な向上に関する協力者会議」の第一回会議を十一月十八日、東京・霞が関の文部科学省庁舎で開催した。座長には横須賀薫・宮城教育大学名誉教授が選任された(委員名は文末に掲載)。事務担当は初等中等教育局教職員課、高等教育局専門教育課が協力する。
 同協力者会議設置の経緯について、中教審答申「今後の教員養成・免許制度のあり方について」を受け新たに「教職実践演習」の必修化や教職課程にかかる是正勧告・認定取り消しの制度化、教職大学院制度の創設が行われたほか、二十一年度からは教員免許更新制が導入されるなど、教員養成や教員免許に関する制度が大きく見直されていることがあるとしている。
 会議での検討事項としては、(1)教員養成課程の実態と現場のニーズとの比較検討(シラバスの点検、更新講習内容の評価結果分析等)、(2)(1)の成果を踏まえた教員養成課程の質的な向上のための具体的方策の検討(モデルカリキュラムの検討、認定取り消し制度等課程認定制度の運用の検討等)(3)その他(教職課程在学生の追跡調査等)―を挙げている。
 検討期間は二十一年三月三十一日までを予定している。第一回会議開催にあたって金森越哉初等中等教育局長は、制度が大きく見直されようとしており、質の向上を図ることが必要、免許更新の内容等実質的向上に向けての議論をいただきたい、とあいさつした。
 初めに事務局から教員養成課程の現状について説明が行われ、教職課程認定が増加する傾向にあり、特に私立大学での設置が増加していること、資格としては小学校教諭・幼稚園教諭養成課程が増加していることなどが報告された。
 次に話題提供として、梅野正信委員が、学部等における改革事例として教職課程としてのFDの推進例を挙げたほか、「意義や使命感を早い段階で学びたい」など学生の意見を報告した。
 続いて、篠原清昭委員が、教員免許状更新講習の方法と課題について、岐阜県の事例を紹介。岐阜県では「教員免許状更新講習コンソーシアム」をつくり講習科目の一元的提供を行っており、今年、予備講習参加者に対して評価調査を行った結果、ベテラン教員は教育の最新情報や理論的なものを求めているのではないかなどと報告した。
 委員からは、「採用後、数年で多くの教員が辞めていく。意欲を学校段階で見ることはできないか」「改革を進めた結果、教育力は何かについて議論がわき上がり、何をやるべきかが少しわかってきた」「授業の具体的なシラバスが必要、また全体とのリンクも考える必要がある」「実務家教員が大事だ」「現場は即戦力を声高に言うが、大学に期待しすぎではないか」「広い視野をつくるために教員の教養養成が必要だ」などの意見が出された。
 横須賀座長は、養成カリキュラムには子どもたちに「自ら学ぶ力」や「生きる力」を付けるためのものは何もない、教員養成は大きな転換点にきている、などと話した。
 徳永保高等教育局長は、教職大学院を教職課程のモデルケースとしたいなどと話した。また、玉井日出夫文部科学審議官は、初中教育局と高等教育局が並んで考え、有効に機能するにはどうしたらよいか、質を見極めること、今の資格がどうなのか、意見をいただきたい、などと話した。
 委員は次の通り。
 座長=横須賀薫・宮城教育大学名誉教授、梅野正信・上越教育大学教授、小山慶一・千葉県教育委員会教職員課副参事、篠原清昭・岐阜大学教育学部教授、高岡信也・島根大学教育学部長、本間謙二・北海道教育大学長、宮川保之・東京都教職員研修センター研修部長、山極隆・玉川大学学術研究所教授、油布佐和子・早稲田大学教授。
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