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記事2008年11月13日 2116号 (2面) 
高校看護教育検討会開催
文科省 大学編入学実現には専攻科評価必要
大学推薦枠等の拡大も
 文部科学省の高等学校の看護教育に関する検討会(座長=中島紀恵子・日本看護協会看護教育研究センター長)の第五回会合が十月三十一日、東京・霞が関の合同庁舎で開かれ、文部科学省側から「『高等学校の看護教育に関する検討会』報告書(案)〜高等学校における看護教育の充実に向けた方策について(仮題)〜」の説明が行われた。このなかで高等学校の看護教育の充実に向けた具体的方策として、応用力育成には現場の実態に合致した実習内容を編成すること、また先端医療機器の取り扱いについては医療現場で指導するなど外部リソースの活用が期待されること。基礎的知識の習得には、専攻科においても引き続き教養習得の充実を図ること、コミュニケーション能力の向上については、グループディスカッションなどを授業に取り入れることやボランティア活動などで育成すること。看護教育の質を確保するための環境整備としては、教員の確保と質の向上を図ること、実習施設を確保すること、学校による卒業生のサポートなどが挙げられた。さらに今後の展望・検討課題では、高等教育の機会提供の拡大として、大学の門戸開放に向けた取り組み、例えば大学推薦枠や特別選抜の拡大、大学による単位の付与、大学編入や称号の付与に係る検討などか必要だとしている。また五年一貫校の高専化については所要の手続きを経ることで可能だが、高等教育機関としての体制整備が必要などとしている。
 この報告(案)に対して委員からは、「五年一貫となって看護系高等学校は初中教育の狭間にある。大学編入への切実性が感じられない。高専化を考えるべきだ」「高専化については、設置基準をクリアできないため設置者側の意見で断念した経緯がある。大学への編入を進めるほうが現実的だ」「国民のニーズに応えるには看護高等学校のあり方を考えるべきだ」「卒業生の声を聞くと、他の施設卒業生と変わらない。大学編入については生徒たちの学びたい気持ちに応える制度をつくることが大切だ」などの意見が出された。
 一方で「定時制で学んで准看護師を目指している者もいる。すべて五年一貫校でというのはどうか」といった意見も出た。また教員の資質向上については、「看護系大学の先生を招いて研修会を開いているところがある」などの意見があった。
 中島座長は、すべて大学教育へと高度化が進むのは子どもたちの看護師への道を閉ざすことになるのではないか、教育の質を上げるためには教員の質を向上させること、教員数を確保すること、研修を入れることが必要として、五年間教育の現在の問題を見直すことで具体的な提示をしていくことだと話した。委員から求められている編入学について文科省側は、展望を踏まえつつ、編入を進めるということになると専攻科レビューが必要になる、高等教育局と検討し整備する必要があり、それは宿題だ、と答えた。
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