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記事2008年1月3日 2087号 (1面) 
曲がり角を迎えた株式会社立学校制度
特例措置の制度設計見直しも
文科省は特例継続に疑問
特区研発は4月から全国展開
 構造改革特区での株式会社立学校設置事業が曲がり角を迎えている。一部の学校では来年度から地方キャンパスの閉鎖に踏み切ったり、学校法人に転換する学校も出ている。安全弁の役割を担う地方自治体の学校実態把握にも疑問の声が上がっており、規制所管省の文部科学省からは特例措置の継続に疑問の声も出ている。特例措置の制度設計の見直しの可能性もある。

 東京・虎ノ門の地域活性化統合事務局で一月十一日、政府の構造改革特別区域推進本部評価・調査委員会の教育部会(金子郁容部会長=慶應義塾大学政策・メディア研究科教授)が開かれ、株式会社立学校設置事業の特例措置を全国展開(規制撤廃)するかどうかの話し合いがもたれた。教育部会は経済や地域活性化につながる全国展開を行いたいものの、規制所管庁の調査ではこれまでに多くの問題点が明らかになっており、株式会社立学校を抱える地方自治体でも引き続き検証が必要と考えが大勢だ。結果的には、全国展開の是非は平成二十年度に再び検討することになった。こうした評価は来年度で五年目。当初、文部科学省は、株式会社立学校の設置例が少なく、判断材料に欠けるとの理由から全国展開の判断の先送りを求めてきたが、その後一部株式会社立学校のルーズな学校運営が同省の主張を補強する結果となった。
 一方の教育部会も同省から特例措置の継続に疑問の声が上がったことに危機感を強め、学校種を分けての特例措置とすべきだなど制度設計の見直しを求める意見が強い。金子部会長は一月最終週に開かれる評価・調査委員会にこの問題の検討を要請する意向で、同部会の問題意識として学校法人制度や公設民営方式による学校設置事業についての見直しの必要性も提案する考えだ。同部会では、高等教育の国際競争が進む中で、我が国では現在、市場からの資金調達が立ち遅れている、あるいは学校法人が法人内で次々と株式会社を設立していることを挙げて現行制度の問題点を指摘する意見も聞かれた。
 この日は、このほか校地面積基準の引き下げによる大学設置事業など六特例措置の全国展開の是非も検討されたが、高校全日制課程において不登校状態にある生徒にIT等を活用して学習機会を拡大する事業の全国展開が固まったが、残りはすべて継続評価となった。
 また来年四月から全国展開される「特区研究開発学校設置事業」について文部科学省から、認める内容は特区研発と変わらず、知育に偏った教育など知徳体のバランスを欠いた教育課程は認めない方針が説明された。この特区研発は、教育課程の基準によらない教育課程の編成・実施を可能とするもの。現在、百五自治体で実施され、その大半は小学校での英語教育の実施、小中一貫教育。
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