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記事2008年1月3日 2087号 (1面) 
中教審・教育振興計画部会 数値目標作りへ
各分科会での検討を要請
重点目標づくりが課題に
 中央教育審議会教育振興基本計画特別部会(部会長=三村明夫・新日本製鐵株式会社代表取締役社長)は、昨年十二月二十七日、都内で十一回目の部会を開いた。この中で三村部会長は、「中教審の各分科会も今後の教育政策の条件整備の数値目標を出してほしい。当初は大きな項目での数値目標で、政策の自由度がある目標にしてほしい」と語り、中教審に設置されている各分科会に数値目標の検討を要請した。また三村部会長は重点目標づくりの難しさを認めた上で、重点目標案作りに自信を見せた。
 この日は三日前に決まった平成二十年度政府予算案が事務局(文部科学省)から報告されたが、国立大学の運営費交付金が前年度に比べ一・九%削減されたことから、大学分科会副分科会長の郷通子・お茶の水女子大学長が、政府の「骨太の方針」が定めた一%削減を上回る一・九%の減額に、「高等教育の優先順位が後回しにされた。昨日の国立大学協会の会議でも問題になった。各国が高等教育の充実にしのぎを削っている中で人材育成の危機は深刻」などと指摘、予算の充実の必要性を訴えた。これに対して文部科学省は一%を上回る削減は国立大学の法人化に伴う退職手当の減額によるもので、科学研究費補助金の間接経費の充実等で基盤的な経費の確保を行いたいと説明したが、同省の元事務次官の井上孝美・財団法人放送大学振興会理事長も国立大学は非常に厳しい状況で限度に来ているとの認識を示し、重ねて国立大学の窮状を指摘した。また第三期の科学技術基本計画(平成十八年―二十二年度の五年計画、政府研究開発投資の総額規模は二十五兆円)の達成の可否を事務局に尋ねたが、同省は難しいとの認識を示した。同部会は三月中には教育基本法改正後初となる「教育振興基本計画」(平成二十年度から二十四年度までの五年計画)に関する答申をまとめる見通し。しかし各省庁が実施している教育関連事業の整理や国と地方教育団体との役割分担、教育振興基本計画を総花的ではない、重点事項に絞った内容にできるか、計画にどの程度数値目標を盛り込めるかなどなお課題は少なくない。
 三村部会長も「他省庁との整理が課題。もったいない」と語っており、また省庁横断的な計画作りには各省庁の強い抵抗を懸念する委員もいる。さらに地方公共団体出身の委員からも国と地方公共団体との役割分担で、地方公共団体は財政力等が大きく異なるため、ひと括りにできないと指摘する意見も出されるなど前途多難な状況だ。
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