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記事2008年1月23日 2088号 (1面) 
20年度私学関係政府予算案の詳細
私大等経常費補助金 9月入学を推進
特別補助割合34・3%に
経営改善に取り組む大学を支援
 平成二十年度私学関係政府予算案の詳細が一月十一日、明らかになった。それによると、前年度比一%減の三千二百四十八億六千八百万円となった「私立大学等経常費補助金」の内訳は、一般補助が二千百三十五億九千七百万円(前年度比三十一億八千二百万円減)、特別補助が前年度同額の一千百十二億七千百万円となった。経常費補助金全体に占める特別補助の割合は前年度から〇・四ポイント上がり三四・三%となった。

 このうち、一般補助については、定員割れの大学等に対する減額措置を強化することにより、定員・経営の改善を促す。
 また、特別補助については、国際化・多様化を通じて世界から優秀な学生が集まる大学づくりを支援するため、「各大学等の特色を活かせるきめ細かな支援」(一千五億二千九百万円)に新たに「九月入学の推進」の項目を設けた。さらに、経営の効率化や学校規模の適正化などの経営改善に取り組む大学等を支援するため、平成十九年度より設けられた「定員割れ改善促進特別支援経費」は、経営改善に取り組む大学等からのニーズが高いことから、補助対象校の増加を図るため増額計上(八億円)。
 一方、私立高等学校等経常費助成費等補助については、前年度と同額の一千三十八億五千万円となった。
 生徒等一人当たり補助単価(一般補助の特別分を含む)は、高校と中等教育学校後期課程が五万二千三百二十五円(前年度比三百六十五円増)、中学校と中等教育学校前期課程が四万五千七百二十六円(同百八十円増)、小学校が四万四千七十二円(同百七十四円増)、幼稚園が二万二千四百八円(同百五十六円増)。
 これらの補助単価には、前年度からの「少人数教育等きめ細かな学習指導の推進」、「教員の能力開発及び資質の向上」に加え、新たに「財務状況の改善の支援」が盛り込まれた。私立学校の財務状況の改善について特別な助成を実施する都道府県にその一部を補助するもの。幼稚園に関しては幼稚園教諭一種免許(大卒)保有者の促進事業にも補助する。
 私立高等学校等経常費助成費等補助のうち、一般補助は九百十五億九千六百万円(前年度比四億二千万円増)、特別補助は九十五億五千九百万円(同二億二千六百万円減)(以上が都道府県に対する補助)、文部科学省の直轄事業である私立高等学校等経常費補助は二十六億九千五百万円で、前年度比一億九千四百万円の減額。
 このうち特別補助では教育改革推進特別経費のうち「預かり保育推進事業」が減額、「幼稚園の子育て支援活動の推進」が増額となったが、教育改革推進特別経費全体では二億八千万円の減額。また文科省の直轄事業である「教育改革推進モデル事業」は、前年度の四億九百万円から二億百万円に減額となった。

私立大学戦略的研究基盤形成支援に39億
私立高校等施設高機能化は前年度と同額

 一方、施設・設備関係の補助金をみると、私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助金は前年度比七千七百万円、〇・七%減の百五億五千六百六十七万三千円。このうちマルチメディア施設改造工事等の「情報通信施設」は前年度比四・一%増の二十億四千三百万円に、また耐震補強工事やアスベスト対策工事、施設のバリアフリー化などを目的とした「私立大学等防災機能等強化緊急特別推進事業」も同五・二%増え十九億八千六百万円となった。その一方で研究施設・研究装置を総合的に整備するため、「私立大学学術研究高度化推進事業」を見直し、経営戦略や研究戦略上意欲的なプロジェクトを支援する「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に三十八億五千五百万円計上した。
 耐震補強工事に関しては概算要求では新たに改築事業も補助対象に加えるよう要求したが、改築は認められなかった。
 私立大学等研究設備等整備費補助金は前年度比九億六千三百万円、一五・五%減の五十二億六千九百十万円となった。なかでも「情報処理関係設備」が同二七・二%の減額となっているが、これは需要に応じて前述の「情報通信施設」を増額したことによるものである。私立高等学校等施設高機能化整備費補助金は、前年度と同額の二十億七千八百万円となった。
 この補助事業は私立高校等の情報教室やLANの整備、施設のバリアフリー化、施設の耐震化、防犯など安全機能強化、エコスクール整備推進モデル事業などを行うもの。補助率は三分の一以内。
 私立高等学校等IT教育設備整備推進事業は前年度比一億円、九・一%減の十億円となった。
 これは教育用コンピュータやソフトウエア、インターネットなどの情報通信ネットワークの活用に必要なIT教育設備の整備を支援するもの。補助率は二分の一以内。
 私立学校施設高度化推進事業費補助金(利子助成)は前年度同額の十一億七千七百十一万八千円。日本私立学校振興・共済事業団の貸付事業は前年度と同じ総額六百億円の事業規模。

就園奨励費補助は4.1%の増額

 このほか私学も対象となる予算では、国公私立の複数の大学による大学間の戦略的な共同・連携の取り組みを支援し、地方の大学教育を一層推進する「戦略的大学連携支援事業」に三十億円が計上された。新規事業。
 また科学研究費補助金のうち私立大学が多く申請する「若手研究」(B、スタートアップ)に新たに間接経費三〇%を措置する。間接経費の増額(四十九億円)のうち私立大学には十一億円が配分される見通し。さらに「質の高い大学教育推進プログラム」(八十六億円、特色GPと現代GPを発展的に統合、新規)、「社会人の学び直し対応推進プログラム」二十億円、「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」十六億円、「人文学及び社会科学における共同研究拠点の整備の推進事業」三億円(新規事業)がある。
 このほか日本私学教育研究所補助金として四千六百二十二万七千円(前年度比三・〇%減)、幼稚園就園奨励費補助金に百九十二億一千二百万円(同四・一%増)、私立幼稚園施設整備費補助金に十一億八百万円(同一・〇%減)などがある。

東大に883億円

 国立大学法人の運営費交付金は平成二十年度も前年度比減額となったが、それでも私立大学とはけた外れの額だ。
 二十年度も最高額は東京大学で約八百八十三億円、次いで京都大学六百九億円、東北大学五百七億円、大阪大学五百五億円といった順。一方、最低額の小樽商科大学(学生数約二千四百人)でも十三億円だ。


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