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記事2008年1月23日 2088号 (3面) 
地域振興に貢献 (9) ―― 上智短期大学
大学・短大や専門学校が地域と連携
神奈川県秦野市と協定締結
家庭教師、児童英語教育ボランティアで地域貢献

 上智短期大学(高祖敏明学長、神奈川県秦野市)は昨年十月二十七日、同短期大学で地域社会と人材育成で連携を図ることを目的に、秦野市(古谷義幸市長)と提携事業に関する協定を締結した。




 同短期大学は秦野市に開学して今年で三十五年目を迎えるが、この間、地域の一員として、学生が外国籍の人たちに日本語を教える「家庭教師ボランティア」活動をはじめ、さまざまな交流に携わり地域貢献を行ってきている。それは、同短期大学が教育理念とする「キリスト教ヒューマニズム」「徹底した英語教育」、および「国際性」の表れといっていい。
 今回の協定の連携に関する事業((1)ひとづくり(2)まちづくり)や協力に関する事業などは、その教育理念に基づくものだ。連携事業については、ひとづくりの視点から、地域に公開する「コミュニティカレッジ講座」を開講する。また、外国籍市民の日本語の習得、外国籍市民および学生の多文化への理解を促し、地域社会との交流を推進するため、「家庭教師ボランティア」を実施する。さらに、保育園・幼稚園・小学校で、効果的な英語授業などを実施するための方策を検討し、「児童英語教育ボランティア」に携わることが含まれている。
 「コミュニティカレッジ講座」は、地域に開かれた大学を目指し、生涯学習支援の一環として取り組んでいるもので、二〇〇七年度には春と秋に英語、スペイン語、中国語の語学講座を開講している。
 一九八八年にスタートした「家庭教師ボランティア」は元々、秦野市のNGOが主催した「難民支援のための日本語教育」に参加した学生たちのアイデアから始まったものだ。外国籍の人たちに日本語を教えることにより、学生が異文化や語学教育への理解を深め、主体的な奉仕の精神(for others)を体験的に学んでいる。これは秦野市との地域連携(with others)を深める絶好の機会となっている。
 「現在、約二百人の学生が、ブラジル、ペルー、カンボジアなどからきた小・中・高校生やその母親たちに日本語を教えています。これは、奉仕の精神に基づくもので使命と考えています」と同短期大学の小幡富志男事務センター長は語る。
 学生が自主的に英語教育をボランティアサークルとして始めた「児童英語教育ボランティア」活動は、五年ほど前からだ。地域住民から子供たちにぜひ英語を教えてほしいという依頼が増えてきたのがきっかけだった。その後、学生たちの要望から教科として体系化し、全国でも珍しい「児童英語教育」の専門コースが本格的にスタートした。このコースは、英語を軸とし、言語学、教育学、心理学というさまざまな分野を総合的に取り入れている専門コースだ。
 「家庭教師ボランティア」活動も「児童英語教育」も、人のため、社会のために、学生が自己の能力を生かしながら活動する姿は、貴重な体験となっており、同短期大学の伝統となって引き継がれている。
 また、協定にはまちづくりの視点から、「秦野市周辺賑わいづくり」に関して、大学が主催するハロウィン仮装行列の実施について連携したり、市や地域が実施するまちづくりに連携したりすることが、内容になっている。協定にはそのほか、同短期大学教職員と同市職員の派遣協力や災害時の施設使用協力などが盛り込まれている。


調印をした高祖学長(右)と古谷市長(左)

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