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記事2008年1月23日 2088号 (8面) 
ユニーク教育 (181) ―― 共立女子第二中学・高等学校
第一回芸術展で授業の成果を発表
女性の自立を目標に生きる力育成

関和彦校長

 共立女子第二中学・高等学校(関和彦校長、東京都八王子市)は昨年十二月二十一日から二十三日まで、八王子市・八王子東急スクエアビルのギャラリーホールで「第一回共立女子中学高等学校芸術展」を催した。土曜、日曜日にわたって、親子連れや創作した生徒たちが連れ立って訪れ鑑賞に浸っていた。受け付けでは、高校生が一生懸命入場者の対応に当たっていた。
 この芸術展は、クラブ活動の成果ではなく、また「芸術展」を意識したものではなく、日ごろの授業の中から創作された作品が出展されている。それは、同校が「女性の自立」を建学の精神に掲げ、生きる力≠フ育成に力を注ぎ、中学・高校を通して、バランスの取れた教育を行うことを教育方針としているからだ。進学のための教科はもちろんだが、芸術・技術家庭・保健体育といった教科もおろそかにせず、全人的教育を展開しているところに表れている。「芸術展」はこうした同校の教育方針の中から生まれた創作展となった。
 当日出展された作品は、高校三年を中心に中学生の優秀作品も含み、美術関係が六十点、書道関係が九十点に及んだ。この中には、「百人一首」を英訳したものや、屏風(びょうぶ)に書いたもの、篆刻(てんこく)、張り絵、切り絵、絵本作り、ドレス創作など、生徒たちが考えたさまざまな作品があった。中学、高校生とは思えないような書道の作品、奇抜なアイデアによる美術作品など、生徒の個性が光る作品が目についた。
 馬場浅雄教諭書道担当は「生徒たち一人ひとりの思いが作品に表れています。一面では修練、鍛錬の部分、他方、楽しさや作品制作の達成感、満足感を味わえるという、その過程が好きなようです」と、この「芸術展」にかける期待を語った。
 「写経では何回も失敗して泣きながら仕上げた生徒もいた」という馬場教諭の言葉からも、生徒の作品に寄せる思いがうかがえるようだ。
 同校は現在、中学一、二年で国語五単位の中の一単位を書写として、高校では芸術教科の中の書道の授業を一年で二単位、二年でそれぞれ一単位履修することになっている。例えば、中学の書写の授業では、毛筆、硬筆を半々とし、二年生で「漁父辞」二百十一字を半切に書写し、全員軸表装にするのが伝統となっている。また、高校では、一年生で中国史、漢字五書体の歴史を小論文を通して学ばせながら、楷(かい)書体、行書体、仮名、篆刻の四本の柱を実技として学習している。二年生なると、隷書体、写経を中心に細楷、古典仮名の発展として作品制作を、三年生では半紙作品、陶器作品、全紙、または料紙などを使った作品を制作している。
 一方、美術では、中学一、二年に各二単位、三年に一単位を、高校では芸術教科の選択で一年に二単位、二、三年に各一単位を履修することになっている。中学の授業では、絵画、デザイン、塑像、版画などを使っての課題をこなし、高校美術ではけん玉のデザイン、ペインティング、張り絵、切り絵、絵本制作などを行っている。
 「芸術展」を通して、地域の人たちに同校の教育内容、そして生徒の生き生きとした様子をアピールする絶好の機会となった。

生徒たちの力作がそろった芸術展

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