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記事2007年9月3日 2075号 (1面) 
文科省の20年度私学関係概算要求 耐震補強予算を大幅増額
私大等の一般補助 FD支援経費等新たに
20年度私学経常費補助要求額
大学等3,350.5億円 高校等1,068.5億円
 文部科学省の平成二十年度私立学校関係概算要求の詳細が八月三十一日に明らかになった。それによると私立大学等経常費補助金については前年度比七十億円(二・一%)増の三千三百五十億五千万円を、私立高等学校等経常費助成費等補助金については前年度比三十億円(二・九%)増の一千六十八億五千万円を要求。また施設整備費補助金では耐震補強のための予算を大幅増額要求している。しかも私立学校が補助金を使い易いようさまざまな見直しを行っているのが特徴だ。

 このうち私立大学等経常費補助金については、昨年七月に閣議決定した「骨太の方針二〇〇六」では平成十九年度予算から五年間、前年度比一%削減を行うとされたが、その後、改正教育基本法が成立、国は私学振興に努める規定が設けられたことや、教育の質保証のため大学設置基準等の一部が改正され、全大学にFD(ファカルティ・ディベロップメント)の義務化を求めたことなどの状況変化に関しては予算の新規計上、増額要求した。具体的には一般補助の中でFD支援経費として五十七億円を要求(新設)、医学部定員増には一億円を要求、特別補助では九月入学の推進(新設)や十九年度予算から設けられた経営改善に取り組む大学への支援措置について今年度の倍の八億円など十二億円を要求している。FD支援では全ての大学にFD実施のためのリーダーとなる人材を配置するため人件費の一部を補助、九月入学推進では九月入学を導入する大学において、前期、後期同じ講座を開設するなどのための非常勤講師の人件費の一部を補助する。医学部定員増は岩手医科大学と自治医科大学への支援。
 私立高等学校等経常費助成費等補助金に関しては、少人数教育等きめ細かな学習指導の推進や教員の質の向上等について重点的な補助を行うほか、私立高校等の経営改善に向けた取り組みを補助金で支援する都道府県に対し、国が新規に補助金で支援をしていく方針。特別補助では発達障害などのある子供へのきめ細かな支援を行うため幼稚園特別支援教育経費の充実などを図る。
 私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助金については前年度比四十二億八千五百万円(四〇・三%)増の百四十九億一千九百四十七万八千円を要求している。増額要求の大半は学校施設耐震改修事業の充実で、十九年度予算額八億円の六倍近い四十五億七千八百万円を要求している。これまで耐震補強事業に関しては、改修事業のみが補助対象だったが、来年度は改築事業についても補助対象とするよう財政当局に要求している。施設の耐震化は巨大地震が頻発している中で喫緊の課題ということで、同省では耐震化の補助制度や申請手続き等についての説明を含め小学校、特別支援学校から大学関係者までを対象に相談会を九月中旬から十月中旬にかけて、全国七会場で開く予定にしている。こうした取り組みは初めてのこと。また十九年度までの「私立大学学術研究高度化推進事業」を見直し、名称も「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」と改め、小規模校でも補助金の申請ができるような構成に改め、また二年間にわたる事業や改修事業でも補助対象にするなど私立学校の補助金の使い勝手の良さを考えた補助制度とする考え。
 これまでは一年で完結する事業に限られていたため、ハイテクリサーチセンターなどでも工事期間の関係で、キャンパスや資金の有効利用ができなかった。
 私立高等学校等施設高機能化整備費補助金は、前年度比十三億四千七百万円(六四・八%)増の三十四億二千五百万円の要求。増額分はすべて私立高校等の耐震補強や安全機能強化事業の充実に当てる予定。
 私立大学等研究設備等整備費補助金は、前年度比二億一千百万円(三・四%)増の六十四億四千三百十三万三千円、私立高等学校等IT教育設備整備推進事業は前年度と同額の十一億円の要求。私立学校施設高度化推進事業費補助金も前年度と同額の十一億七千七百十一万八千円の要求で、日本私立学校振興・共済事業団貸付計画額も前年度と同額の六百億円。
 このほか国公私立大学を通じた事業だが、国公私立の複数の大学による多様で特色ある大学間の戦略的な連携の取り組みを支援する事業を新たに要求している。五十億円の予算。これは地域の教育研究資源の結集による知の拠点としての機能を強化するため、各大学の教育研究資源を活用した、大学間の連携強化による個性・特色ある取り組みを支援し、地方の大学教育の一層の充実を図るもので、多くの私立大学の参加も見込まれている。また科学研究費補助金では「若手研究(B)」などの研究種目で間接経費三〇%を早期に措置するよう要求しており、私大の要望にも応えるものとなっている。
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