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記事2007年9月3日 2075号 (2面) 
私大生対象の生活実態調査 私大連盟実施学生生活白書
学生の5割が学歴求め進学
大学への要望 授業料引き下げ56・4%
教育面では多様な科目選択希望最多
大学生の約五割が、進学目的を「学歴」と考えている。
 日本私立大学連盟が私立大学生を対象に行った生活実態調査「学生生活白書2007」から、こんな結果が浮かび上がった。
 同連盟は「『学歴』とはいっても、未来志向型。『大卒』という肩書きだけでは、社会で勝負できないのは分かったうえで、自分の人生のキャリア形成の一環として、大学を位置付けようとしているようだ」と分析する。
 調査は同連盟が四年に一回行っているもので、昨秋、加盟校を対象にアンケートを実施。百二十二大学、六千六百三十九人の学生から回答を得た。
 ▼進学目的・理由
 進学目的のトップは、「学歴の必要性」五〇・二%で前回調査から四・六ポイント増えた。次いで、「自分のしたいことを探す」三五・七%、「専門的知識・技能を身につける」三四・一%。「自分探し」は、前回調査から五・七ポイント減少し、「自分探しという曖昧模糊(あいまいもこ)としたものが影を薄めている」(同連盟)。
 所属大学の選択理由は、「自宅から通学可能」が二六・九%、「自分の実力に合っていた」が二六・八%と高く、現実的な選択が読み取れる。
 大学への要望は「授業料を安くしてほしい」が五六・四%で前回と同様にトップ。学生食堂や荷物置き場など施設整備への要望も多い。
 ▼経済状況
 学生一人当たりの一カ月の総収入は八万九千二百円で、前々回(九万九千八百円)からの大幅な減少傾向に歯止めがかかった。家族からの援助が前回比五千六百円減なのに対し、奨学金は二千三百円増。奨学金受給者は三二・三%で、前回より三・四ポイント増加した。
 総支出は、七万千五百円で、前回に続き減少した半面、学習資料費が千三百円増、資格取得講座などのダブルスクール費が三千五百円増と大きくアップしている。
 学費が家計の負担になっていると考える学生は八〇・七%に達した。
 ▼大学生活
 現在興味を持っていることは、前回一位の「資格取得」(二〇・七%)が三位に落ち、「クラブ・サークル活動」(二二・一%)、「大学の勉強」(二一・五%)の順だった。「大学の勉強」は三・四ポイント増えた。
 喫煙についての問いを初めて設けた。喫煙率は男子二五・三%、女子六・〇%で、喫煙者の六四・三%は「できればやめたい」。
 受動喫煙については、七一・五%が「非常に気になる」「少し気になる」と答えている。
 ▼正課教育
 教育内容への要望は、「多様な科目選択ができるカリキュラム」(三五・八%)がトップ。「教養科目の充実」(二四・五%)「一貫した専門教育が受けられるカリキュラム」(二四・〇%)「ボランティア・語学研修・スポーツ活動など学外活動の単位認定」(二一・三%)と最新の課題が続き、いずれも前回よりポイントを増やした。「導入教育」も一七・八%で五位に入った。
 ▼不安・悩み
 一位は「就職や将来の進路」で五一・四%。「異性問題」一九・〇%、「授業など学業」一八・〇%、「友人などとの対人関係」一四・八%が続く。
 「自分のことを何でも話せる友人がいる」学生は八一・七%で、「いない」と答えた学生は一七・四%だった。「学生生活が充実していない」と答えた学生のうち、親しい友人が「いない」学生が、前回二八・九%から四一・四%へ激増しており、友人の有無と学生生活の充実度との間に相関関係がみられる。
 相談相手は、友人が七六・四%でトップ。「誰とも相談しない」学生も一二・八%いた。親しい友人が「いない」学生のうち、「誰とも相談しない」学生が四五・七%を占めている。
 ▼進路・就職
 景気回復を反映して、公務員志望が二六・〇%で前回比三・六ポイント減に対し、民間企業・団体志望が五九・六%で九・五ポイント伸びた。
 民間志望者の希望する企業は「安定しているところ」が四七・九%でトップ。「自分の能力を活かせるところ」三八・一%、「給与の高いところ」二四・九%が続いた。「自分の能力を活かせるところ」は、前回比九・四ポイントの大幅減で、学生の「安定志向」がみられる。
 同連盟は「前々回の調査では、大学に入るのが目的、前回調査では大学の中身が問われているという印象だった。今回は、卒業後の人生までを見据えて大学生活を送っている学生像がみえる」としている。
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