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記事2007年9月3日 2075号 (5面) 
ユニーク教育 (176) ―― 広尾学園中学・高等学校
J8サミットに日本代表で参加
自律と共生の精神発揮

大橋校長

今年六月ドイツ・ハイリゲンダムで開催された主要国首脳会議(G8)の公式プログラムの一環として、六月三日から十日までドイツのヴィスマールで開かれたジュニア・エイト(J8)サミット。このJ8に日本代表として参加したのが、広尾学園中学・高等学校(大橋清貫理事長・校長、東京都港区)だ。
 今回で三回目となるJ8サミットは、十三歳から十七歳までのG8国の若者と、開発途上国からの参加者を合わせた七十数人で構成される。G8で討議される国際問題についてのテーマを討論し、「共同宣言」を作成し、G8と世界に向けて訴える。
 同校のJ8への決定の連絡を受けて「信じられなかった。国際問題に問題意識を持ってくれたらと思って応募しました。決定は生徒もびっくりしました」と話すのは、J8参加にかかわってきた英語科の日高真規子教諭だ。まさに快挙だった。
 同校は二〇〇七年、男女共学(特進コース)とし、新しい時代にふさわしい人材育成の基礎づくりをするために生まれ変わった。「自律と共生」を学園の理念として掲げ、自らの意志で目標を立て、自らの力でそれを達成していくことが「自律」だ。この精神を日々の学校生活で体験し、成し遂げていくことに力を注いでいる。その精神を発揮する絶好の機会がJ8への参加となった。
 J8メンバーは、実用英語技能検定二級以上の取得者で、しかも国際問題に興味を持っている高校生八人(うち男子二人)の帰国生で構成された。審査(英作文)のテーマは、「アフリカにおける経済発展の展望」「HIV/エイズ」「気候変動とエネルギーの効率性」「グローバル経済における新たな課題:知的財産所有権と企業の社会的責任」――の四つだ。生徒たちはそれぞれ得意な分野を調べ考えを持った。応募に当たっては、J8主催者のユニセフほか、各テーマに精通した外務省の専門家などで構成された委員会による厳しい審査が行われた。「J8参加への動機については、何度も練習した」(日高教諭)努力が報われた。
 代表が決まってからは、英語でのディベートの訓練を重ね、J8に向けての準備を始めた。五月十二日には昨年、J8に参加した都立国際高校からアドバイスを受け、また昨年のJ8コミュニケの引き継ぎを受けるために外務省を訪れ専門家による講義を受けた。そして、五月二十九日には総理官邸で安倍晋三・内閣総理大臣を表敬訪問した。とりわけ、「アフリカにおける経済発展の展望」というテーマについては、援助も大切だが、(アフリカの人たちが)自助努力し、自立できるようになるための支援の必要性も外務省の講義から学んだ。
 六月三日は現地で開会式、五日に記者会見、七日にはG8首脳にJ8コミュニケを発表した。「共同声明を作るために、J8の間で連日ディスカッションとディベートを行いました。最初は戸惑いましたが、二日目以降は言いたいことをはっきり言えるようになりました」(日高教諭)。
 ドイツでの貴重な体験をした生徒たちは現在、学園祭「けやき祭」でのJ8への参加報告の準備を行っている。帰国してからのJ8参加への反響が大きく、来年の「北海道洞爺湖サミット」J8参加にも、もちろん挑戦する。
 共学元年となった新学期に華を添えたこのビッグニュース。学校が活気づくいいきっかけとなったにちがいない。


安倍首相から激励を受ける生徒たち

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