こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2007年8月13日号二ュース >> VIEW

記事2007年8月13日 2074号 (2面) 
教育三法成立受け文科省が次官「通知」
私学の自主性配慮を知事や教委に
知事部局で教育課程専門家配置促進
教委に助言、援助求める場合は私学と協議
 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律」など、いわゆる教育再生三法が先の通常国会で成立、六月二十七日に公布されたことを受けて、文部科学省は七月三十一日付で、改正法の概要と留意事項をまとめた文部科学事務次官名の通知を各都道府県教育委員会や知事などに発出した。

 改正三法のうち、私学関係者の最も関心の高かった地教行法における私立学校行政の変更に関しては、三点を留意事項として挙げて、あらためて私立学校の自主性への配慮を都道府県知事と教育委員会に求めている。
 同法改正をめぐる論議では、私立学校の自主性の尊重が大きな焦点となり、私立学校関係者の強い懸念などから、同省では、国会での文部科学大臣答弁、法案を審議した衆参両院の委員会での付帯決議、成立後の通知の「三点セット」で私立学校の自主性尊重を担保したいとしていた。今回の通知は三点目に当たるもの。
 今後は、各県の知事部局で教育課程等の専門家の配置などが進むことが予想される。改正法は平成二十年四月一日施行だが、その前に関係政令の改正が行われる。
 また「学校教育法等の一部を改正する法律」のうち、学校評価に関しては、今後規定される「文部科学大臣の定め」がどのような内容になるかが大きな焦点だが、留意事項では、「文部科学大臣の定め」については、教職員による自己評価や、保護者や地域住民らによる評価の実施と公表の在り方について今後さらに検討を深め、省令に規定するとしている。
 大学等が特別な課程を修了した社会人に履修証明を発行できるようにすることに関しては、留意事項では、現在、各大学等が実施しているさまざまな取り組みを制約するものではないこと、特別な課程の編成等のために適正な体制を整えることや、当該課程の内容、方法等をあらかじめ公表することなどについて今後さらに検討を深め、「文部科学大臣の定め」として省令に規定するとしている。
 改正地教行法に関する留意事項のうち私立学校に関する内容(全文)は次のとおり。
 (1)今回の改正は、都道府県教育委員会が有する学校教育に関する専門的知見を都道府県知事が活用することができる旨を規定したものであり、私立学校に対する都道府県知事の権限を変更するものではないこと。
 (2)都道府県知事が都道府県教育委員会に対し、学校教育に関する専門的事項について助言又は援助を求める際には、その具体の運用に当たっては、都道府県知事は、私立学校と協議するものとし、教育委員会は都道府県知事に対して助言又は援助を行う際、私立学校の自主性を尊重するなど、適切な配慮を行うこと。
 (3)私立学校の法律上の義務の確実な履行を担保できるよう、都道府県知事部局においては、学校教育に関する専門的知識を有する者を配置するなどその体制の充実を図ること。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞