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記事2007年8月13日 2074号 (8面) 
ユニーク教育 (175) ―― 智辯学園奈良カレッジ小・中学部・高等部
全ての親の願いかなえる教育
人間性培い、能力最大限に伸長

藤田校長

近鉄大阪線の関屋駅から歩いて十五分、金剛生駒紀泉国定公園の深い緑に包まれた環境に位置している智辯学園奈良カレッジ小学部・中学部・高等部(藤田照清理事長、藤田良一校長、奈良県香芝市)。その敷地は七万四千平方bを誇っている。この優れた環境の中で、二〇〇四年開校された智辯学園奈良カレッジは、十二年一貫教育を行っている。
 小学部二年「宗教」の時間では、教師の質問に児童が元気よく答えているのが、印象的だった。週一時間の「宗教」の時間には仏教の教えを基に、人の道を学び、心を育てている。毎朝始業時に「ご真言・ご宝号」のお祈りをし、素直な気持ちで一日が始まる。
 同学園は「すべての親の願いをかなえる教育」を基本理念に、真・善・美・聖の高い価値を身につけた人材の育成を目指し、「能力を最大限に伸ばす」「豊かな人間性を培う」教育を進めている。この方針が教育活動の随所に現れている。
 小学部では一人の学級担任が中心になっているが、担任・副担任の四人が一つのチームになって一学年二学級を指導する仕組みを取り入れている。これは、教科の専門の教員が指導する専科制や、TT(チームティーチング)を通して、多くの教員の広い目と、異なった考えの中で、児童の多面的な個性を引き出し伸ばしていこうという考えに基づいている。
 同学園中学部一期生が今年高校生になった。「あっという間の三年間でした。さすが、一期生というところはさまざまな場面に現れています。一番元気がいいし、学校行事などでは何事にも率先してやり、皆のお手本になってくれています」と、藤田校長は一期生を評価する。
 小学部を含めた中学部・高等部の一貫プログラムは、同学園ならではの系統的・連続性のあるものとなっている。
 T期基礎力養成期(中一〜中二年)では、中学生が身につけるべき基礎・基本を習得し、ノートの取り方、レポートの書き方、家庭学習のあり方など、基本を中心にじっくり指導する。「家庭学習は一日三時間をするように指導しています」(藤田校長)。授業はもちろん、家庭学習を重視している考えだ。U期実力養成期(中三〜高二年)では、高等教育に耐えうる実力を養い、実験、自由研究などを効果的に組み入れ、内容に幅を持たせている。V期応用力養成期(高三年)では、T期、U期で学習した内容を総合的に理解し、大学進学のための準備期間となる。
 一コマ七十分授業で五コマの授業を行っている。これはできる限り、授業時間を確保し、十分な時間をかけて授業を進める方針に基づいている。特にT期では国語・数学・英語の基礎教科に力を注いでいる。
 小学部から高等部までの児童・生徒との交流が行われている学内では、ほほえましく、毎日「おはようございます」「こんにちは」の声が飛び交っている。「元気で活気のある学校を目指したいですね。お互いに応援し合って、しかも秩序ある学校でありたいです」(藤田校長)。
 児童・生徒・保護者と教師との間の信頼関係は強い。藤田校長は同学園の教師力に自信をもっている。「教師は子供が好きなことが第一条件です。そして、授業についていけない子供をつくらないことが重要です」(藤田校長)という信念に基づいているからだ。
 同学園は世の中がどのように変化しようと、ぶれず、ゆるがず、宗教哲学を軸にまっすぐな学校を目指そうという意気込みが感じられた。

踏み込んだ指導が生徒の力を高めている

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