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記事2007年7月3日 2069号 (1面) 
全国九地区代表から検討結果聴取 日本高野連
私学と高野連に溝
来年度は特待生存続容認
21年度以降の方針は有識者会議で検討
財団法人日本高等学校野球連盟(脇村春夫理事長)は、六月二十六日、大阪市内の高野連事務局で第二回特待生問題私学検討部会等を開き、五月二十四日の前回の検討部会以降、各都道府県の私立高校関係者に依頼していた、特待生問題について検討の結果(2面に掲載)を全国九地区の代表から聴取した。私学関係者は特待生制度の存続や学費・生活費等の受領を禁じた学生野球憲章第十三条の見直しを求める意見等を出したものの、高野連との溝は埋まらず、平成二十年度の入学予定者に対する特待生制度については、暫定的に、加盟校がスポーツ技能に優れた生徒に経済的支援が必要と判断した場合、特待生制度の適用を容認する方針が決まった。

野球憲章13条見直しは議論の推移で

 暫定的ながらも、特待生制度が存続することに私学九地区代表からは安どの声も聞かれたが、その一方で、「もう少し何とかならなかったかと思った」「野球部とその他の部とのダブルスタンダードはやめてほしい」「特別待遇という印象を与える特待生制度の名称をやめ、奨学金制度にしてほしい」といった声も聞かれた。特待生制度は、あくまで経済的支援が必要との判断が前提だが、適用の基準については経済事情は地域や家庭によって異なることから、全国一律の規定は難しく、判断は各学校長に委ねられる。その際、特待生制度の規定を公開し、この制度による減免は、当該生徒が高校を卒業するまで適用できる、としている。
 このほか中学校との接触ルール、行き過ぎた行為やブローカー介在の禁止、寮費の取り扱い等が決まった。中学校との接触に関しては、高野連の田名部和裕参事は、「若干緩やかになったが、これ以上は絶対だめ、守ってもらう」と説明、「十一月末に最終合意が得られしだい、中学校や少年野球チームに十分説明していく」と語った。寮費については、野球部員個人に対しての減免は原則できず、当該高校で経済的な支援が必要な生徒に対し、卒業後返還を必要とする制度による特典は差し支えない、としている。
 高野連としての平成二十一年度以降の方針は、学校団体代表や法律学者らを委員とし、七月九日に発足する高野連の「特待生問題有識者会議」(2面にメンバー名)が検討する。特待生制度の是非やあり方を中心に、先の自由民主党の高校野球小委員会で指摘された事項等について検討し、九月下旬から十月上旬に検討結果をまとめ、その後、私学部会、高野連理事会を経て最終決定する。学生野球憲章十三条については、有識者会議で正面から見直しをするのではなく、脇村会長は、特待生制度のあり方を議論する中で、議論の中身によっては検討が行われるかもしれない、と語っており、私学代表の期待とは大きな温度差を感じさせる印象だ。
 特待生問題有識者会議は、七月九日に初会合を東京で開き、七月中に二回程度、八月は夏の甲子園大会のため休止、九月に二、三回程度開き審議を深める予定。
 有識者会議には私学から田村哲夫・日本私立中学高等学校連合会長らが参加しているが、私学とは関わりの薄いメンバーもおり、そうした委員に私立高校の独自性や才能を持った生徒への支援に対して理解を深めることができるかがポイントといえそうだ。

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