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記事2007年7月3日 2069号 (6面) 
ユニーク教育 (175) ―― 白梅学園清修中学校
オールインワン型プログラム
中高6カ年で「基幹力」の養成へ
白梅学園清修中学校(秋田中子校長、東京都小平市)は昨年四月にスタートした。白梅学園高等学校とは別課程で学ぶ、完全中高一貫校だ。クラス、カリキュラムなどは清修独自の六年間を過ごすことになっている。「教員自身の従来の考えを取り払い、すべてを新しくつくっています。生徒の一生にかかわる仕事ですから教員の研修も相当行っています」と柴田哲彦教頭は力強く語った。
 学校教育の重要な教育が平素の授業であるという基本的な認識に立っている。清修の授業は教科指導・進路指導・生徒指導のすべてを含む、いわば「オールインワン」の発想だ。
 「オールインワン型」を志向する清修の教育プログラムは、中・高六年間にわたり進められている「基幹力」の養成が大きな骨格となっている。「基幹力」は思考の展開力を含む根本的な能力であり、大学入試とその後の大学生活、社会生活にも役立つものと位置づけているからだ。
 同校は六年間を三期に分け、(1)中学一、二年を基幹力定着期、(2)中学三―高校二年を基幹力充実期、(3)高校三年を基幹力発展期とし、それぞれ学習プログラムを組んでいる。(1)この時期は、数学・英語・国語の授業を六十五分授業とし、中学校課程をほぼ修了する。(2)では、中学三年で社会・理科の高校課程を導入し、中学修了の論文作成を行う。高校一年で高校二年相当の課程を、高校二年でセンター試験の範囲をそれぞれ修了する。(3)では、志望大学への特別授業を行い、自習学習を行う「セルフラーニングタイム」を設ける。
 【セルフラーニングタイム】とは、月曜から土曜日までの昼と放課後に設けられた自学自習の時間で、生徒が自主的に何を学習するのかを考え、自分の判断で予習・復習を行う。ここでは、一人で学ぶスタイルを身につけるのが狙いだ。
 清修では、同校ならではの特色ある取り組みが行われている。
 生徒(Student)と教師(Teacher)による創発的なコミュニケーションを促す【STサイクル思考型授業】はその一つだ。この授業は、すべての活動に「動機付けのインプット」↓「議論のアウトプット」↓「知的獲得のフィードバック」↓「発表のリーアウトプット」という循環サイクルを取り入れることで、生徒たちの問題発見・解決・発表能力が培われるのだ。
 【ベーシック・ラーニング】は、大学進学に向けた高度な学習へスムーズに進むための土台を築き、「見る」「聴く」「触れる」「話す」「匂う、味わう」という五感をフルに働かせようという考えだ。中学一年から高校三年までの発達段階に応じて、実践される脳の基礎トレーニング≠ェ、各教科に取り込まれている。
 教科間の壁を取り払い、それぞれの授業が有機的に結びつくカリキュラム【国英社連動プログラム】も同校の大きな特色だ。日本語の論理的思考と国際センス、社会・文化の理解などの教養のレベルまで学ぶことができる。
 また、清修では理系分野への進出を目指しており、中学の数学・理科に積極的な先取り学習を導入している。高校の数学および化学・物理・生物の理系三科目と連携を密にし、実験を重視した演習・体験型授業を展開している。
 「『生徒を怒らないように』と教員には言ってきました」(柴田教頭)。そのかいあって、生徒の表情が変わってきたという。同校の、教員一人ひとりがゼロからつくりあげた、新しいタイプの中高一貫女子教育はいま注目されている。
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