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記事2007年7月23日 2072号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
センター試験の資格試験化を求める意見
高校教育と大学入試の関係協議
ハードル下げ複数受験も
【教育課程部会】
 中央教育審議会の教育課程部会(梶田叡一部会長=兵庫教育大学長)は七月十三日、都内の会館で六回目の会合を開き、これまでほとんど審議ができなかった高校教育と大学入試との関係について協議した。
 文部科学省では、高校の教育内容は大学入試に大きな影響を受けるため、高校教育との円滑な接続の観点から、大学入試の改善を図る必要がある、との認識を持っており、そのため(1)高校における幅広く調和の取れた教育を進めるため、大学入学者選抜において生徒の高校での学習活動の成果を適切に評価するための工夫改善(2)高校自身、あるいは第三者機関が高校での学習成果を適切に評価し、それを大学が選抜資料として広く活用するための仕組みや工夫を、論点としている。
 この日の議論でも、「大学入試センター試験を(大学進学のための)資格試験にするといい。試験にはグレードがあっていい。入試では広く浅く課し、(大学側から)「数学」は一級、「社会」は三級を取ってきてほしい、といったようにしたらいい」「大学入試センター試験の資格試験化には賛成」「高校で履修したものを第三者機関が認定した方がいい。大学入試センターを活用すればいい」などの意見が複数の委員から出された。
 また現在、大学入試センター試験を加えても有力大学でさえ五日間程度で選抜していることを改めるべきで、高校教育でその受験生が何をしてきたかインタビューを含めてきちんと学習履歴を見る必要性や、トップクラスの大学の入学者選抜ではもっと時間をかけ、ていねいな入試を行うことを求める委員もみられた。しかし大学が受験生の高校での学習履歴をていねいに見るためには、大学側のスタッフの充実など基盤整備が必要となることから、「大学の教員に負担がかからないようにしてほしい」と話す大学関係者もいた。
 さらに「学習指導要領の大綱化は高校の大きな望み。資格試験をやってもいいと思うが、難しいものはだめ。何度か受けられる試験がいい」「学習指導要領に関しては、大綱化は一つの流れで、基本的なスタンスにしてほしい。現場の学校の考え方を反映してほしい。心配なら高卒資格試験をすればいい」といった意見も聞かれた。「トップクラスの大学の受験が過熱する一方で、あまり勉強しなくても入れる大学もある」と委員が指摘するとおり、現在、高校教育、大学入試とも多様化が進んでいる。
 梶田部会長は、「学力の低い子も大学に行っている。大学、短大は多岐にわたる。有名大学だけではない。全部見て考えないとだめ。旧帝大は国力の基なので、入試は厳しくしないといけない。私大は学生が来てくれただけでありがたい」と語った。
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