こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2007年7月23日号二ュース >> VIEW

記事2007年7月23日 2072号 (2面) 
高等専門学校 産業界から高い評価
社会一般の認知度は低い
【大学分科会】
 中央教育審議会大学分科会(分科会長=安西祐一郎・慶應義塾長)は七月十八日、東京・千代田区の学術総合センターで会議を開いた。高等専門学校教育の充実策について検討している高等専門学校特別委員会(座長=木村孟・独立行政法人大学評価・学位授与機構長)が、これまでの議論の経緯などを整理し、報告した。
 審議会の場で高等専門学校に焦点が当たるのは、平成三年に大学審議会から答申が出て以来十六年ぶり。十五歳人口の減少や進路の多様化、独立行政法人化による経営状況の変化など、高等専門学校を取り巻く状況が厳しくなるなかで、充実・強化策が検討されている。
 今回の報告では、高等専門学校は、学生数に占める規模としては小さいものの、実践的な職業人教育の場として社会のニーズに合致しており、高い求人倍率にみられるように産業界からの期待も高いと評価。一方で、規模が小さいことから、社会一般からの認知度や評価が低い現状も指摘されている。
 また、設立当初の目的は中堅技術者の育成だったが、進路の多様化により、卒業後、大学などへの進学者が平成十七年度には四二%に達している。
 木村座長は「高専教育は産業界から高い評価を受けている一方で、社会的評価が上がらない現状がある。中学卒業から五年一貫という高専の特質を生かしながら、社会での評価、認知度を向上させる方策を考えたい」と話した。
 委員からは「高専の目的が設立以来いつまで経っても中堅技術者≠ニなってしまった原因を解明しないと問題解決にはならない。産業界からの評価は高いというが、使い勝手のいい技術者として利用したいという企業側の論理もあるのではないか」「技術者養成や高等教育全体という枠の中で、高専教育をどう位置付けるかという視点が必要」「国が経営を支えるという姿勢が明確にないと、将来の存続は難しいのではないか」などの意見が出た。
 高等専門学校特別委員会は、こうした意見をふまえた上で、今秋をめどに中間報告をまとめる。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞