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記事2007年7月13日 2070号 (1面) 
熊本で私学経営研修会開催
危機への対応テーマに
私学の優位性に自信を
各校の努力が全体底上げ
今、私学の前にある危機=\私たちは何をなすべきか―を研究目標にした私学経営研修会が六月七・八の両日、熊本市の尚絅中学高校と鎮西高校等で開かれた。(財)日本私学教育研究所が主催、熊本県、熊本県私立中学高校協会等が後援した。私学経営を巡っては、就学人口の減少に伴う公立学校との厳しい生徒獲得競争や私学教育への行政関与強化の動き等が生じているが、参加者は厳しい環境の中にあって、私学教育の充実に向けさらなる工夫・改善などを研究・協議した。

 今年は特に必修科目の履修漏れ問題、地教行法改正、特待生問題などにより私立学校の独自性・自主性が危うくなる中での開催となったことから、例年を大きく上回る約百七十人の私立中学高校の理事長、校長らが参加した。開会式に続いて、私学情勢について講演した吉田晋・日本私立中学高等学校連合会副会長は、履修漏れ問題や高野連問題などの経緯を説明した上で、学習指導要領が教育現場と乖離し、形骸化しつつあること、また私立の中高一貫教育に関しても教育課程上の弾力的な運用を認める必要性などを指摘。私立学校は主張すべきことは主張することや、私立学校一校一校がいい教育を行えば全体の底上げになることなどを強調した。
 また川本八郎・学校法人立命館相談役が講演し、ソ連などで社会主義が崩壊し、二十世紀は「民が健全」を証明した時代であり、中国も立命館に六百人の研修員を派遣し、北京大学からも数百人の幹部が来日するなど大学の民営化を真剣に進めていることなどを説明した。危機に際して私学は自らで守るしかないこと、闘うべきときは闘うことの必要性を強調、私学人は私学の優位性に自信を持ち、私学の危機や官尊民卑、国公立との授業料格差といったマイナス要因は私学に知恵を生むと語った。さらに厳しい経営環境の中で三人のパネリストが自校の取り組みを発表したパネル討議では、マンネリ化に陥らないよう常に新しい試みに挑戦しているが、成果が続かない苦しさや、私立学校ではまだ低調な人事考課制度を採用した経緯や成果などが報告されたほか、学校にとって現在、大きな負担となっている保護者による理不尽な要求やクレームなどへの対応については、保護者の代表や同窓会の協力を仰いでいることや、校長の講話などで保護者の啓発を行っているなどが紹介された。熊本県の私学主管課の課長の講演なども行われた。
 昨年までホテルを会場に開かれていた同研修会は、同研究所が今年度から各研修会独立採算の基本方針を導入したことから、地元の私立中学高校を会場に開かれた。研修会参加者は両校の授業や施設設備、クラブ活動、生徒の演奏等を見て回ったが、それも今後の学校経営にとって大きな刺激となっていたようだ。
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