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記事2007年6月3日 2066号 (1面) 
教育新時代のための基盤の再構築 再生会議が第二次報告
ゆとり教育見直し 大学質の保証と国際化
授業時数10%増、徳育の教科化
教科書質量とも充実、土曜授業も可能に
 内閣の下に設置されている教育再生会議(会長=野依良治・独立行政法人理化学研究所理事長)は、六月一日、「社会総がかりで教育再生を―公教育再生に向けた更なる一歩と『教育新時代』のための基盤の再構築」と題した報告をまとめ、公表した。今年一月に次ぐ第二次報告で、授業時数を一〇%増やすなど、ゆとり教育の見直しに向けた具体策や、徳育の教科化など心と体の調和の取れた人間形成、卒業認定の厳格化など地域、世界に貢献する大学・大学院の再生、メリハリのある教員給与体系の実現など教育新時代にふさわしい財政基盤の在り方について提言している。

 ゆとり教育を見直しての学力向上に関しては、あらゆる手立てで取り組むとし、五つの提言を掲げている。五つの提言は、(1)授業時数を一〇%増やすこと(2)すべての子供にとって分かりやすく魅力ある授業にすること(3)教員の質を高め、子どもと向き合う時間を大幅に増やすこと(4)学校が抱える課題に機動的に対処すること(5)学校現場の創意工夫による取り組みを支援すること。授業時数の増量幅を一〇%とした理由の記載はないが、夏休み等の長期休業の活用、二学期制の導入、朝の十五分授業の実施、授業を四十分制にして七時間目の実施、必要に応じて土曜日に授業(発展学習、補充学習、総合的な学習の時間等)を行えるようにすることを求めている。分かりやすく魅力的な授業に関しては、教科書を質量とも充実させ、発展学習、補充学習を豊富に盛り込んだものとすること、読み書き計算の反復学習、読書・漢字学習などに積極的に取り組むこと、小学校に英語教育を導入すること、教科ごとに定める到達目標を基準に客観的に絶対評価を行うことなどを提言している。教員の質を高め、教員に子どもと向き合う時間を大幅に増やすことに関しては、授業方法の改善のための研修の充実、教員評価を踏まえたメリハリのある給与体系による頑張る教員への支援、各種調査や提出書類の簡素化・軽減、事務の外部委託などを提言。
 学校が抱える課題に機動的に対処することに関しては、様々な課題を抱える子供や保護者との意思疎通で問題が生じている場合に、教育委員会は学校問題解決支援チームを設けて指導主事、法務教官、大学教員、弁護士、精神科医、警察官(OB)等の専門家の参加を求めること求めている。学校現場の創意工夫への支援では学級編成基準の弾力化や習熟度別指導の拡充などを打ち出している。
 一方、地域、世界に貢献する大学・大学院の再生に関しては、我が国の大学・大学院が世界の十位以内を含め上位三十校に少なくとも五校は入ることを目指すとしており、今すぐ取り組むべき改革として、(1)大学教育の質の保証(2)国際化・多様化を通じ、世界から優秀な学生が集まる大学にする(3)世界トップレベルの教育水準を目指す大学院教育の改革(4)国公私立大学の連携により、地方の大学教育を充実する(5)時代や社会の要請に応える国立大学の更なる改革、を挙げている。
 このうち大学教育の質の保証では、GPAの導入やダブルメジャーの推進、民間機関による試験等により学生の大学卒業程度の学力を認定する仕組みの検討、AO入試の活用と厳格な運用等により大学の個性・特色を明確化し入試の多様化を図る、意欲のある勉強する学生を支援するため学費減免を行う私学に対する補助の拡充等を検討するなどを打ち出している。
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