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記事2007年6月23日 2007号 (1面) 
参院委員会で文科相考え表明
知事が教委に助言等求める場合
私学関係者に相談
私立学校の自主性・独自性尊重の観点から、教育委員会による私学行政への助言・援助が問題となった「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案」は、私学関係者の強い関心と危惧を呼んだが、伊吹文明文部科学大臣は、知事が、私学行政に関して教育委員会に助言・援助を求める場合には事前に私学関係者と協議、私学関係者の了解を取った上で助言を求める運用を行うとの考えを明らかにした。これは、六月五日の参議院文教科学委員会で公明党の風間昶議員らの質問に答えたもの。
 伊吹大臣は、同法の二十七条の二の「都道府県知事は(私立学校に関する事務を管理し、及び執行するに当たり)必要と認めるときは、教育委員会に対して学校教育に関する専門的事項について助言または援助を求めることができる」とする規定について、知事が教育委員会に助言・援助を求める際は、事前に私学関係者と協議し、「知事が一方的に私学とは関係なしに助言を求めるということはしないようにという運用指針を出す」と語った。同省の銭谷眞美初等中等教育局長も同日の文教科学委で、「二十七条の二の規定の運用に当たっては、私立学校の建学の精神を尊重する観点から、知事は私立学校に協議をするとともに、教育委員会は私学の自主性を尊重するなど適切な配慮を行うことが望ましいと考えており、法案を国会で認めて頂いた後には、このような趣旨を知事や教育委員会に周知していきたい」と語った。
 六月七日の同委員会でも日本共産党の井上哲士議員が五日の大臣答弁を取り上げ、「必要が生じた場合は、知事は私学とよく話し合って、私学の了解を取って専門家がいる教育委員会の助言、援助を求めることができると、こういう規定にしたんだと、こういう答弁があるが、もう一度確認してよいか」との質問に、伊吹大臣は、「その通りで結構だと思う」と答えた。
 一方、六月七日の午前中には参議院文教科学委員会で参考人からの意見聴取が行われ、東京私立中学高等学校協会の近藤彰郎会長(八雲学園理事長)、梶田叡一・兵庫教育大学長ら四人が内閣提出の教育関連三法案等に対する意見を表明した。
 この中で近藤会長は都内私立中学校が未履修と指摘された大半は「美術」だったこと、効率的な授業を考え二時間続きの授業を行うなどしたため各学年で決められた単位数に該当せず、未履修とされたことなどを報告。また学習指導要領は重要な位置づけとした上で、教育現場が生徒の実態や社会の要請などを考慮して創意工夫ができるよう運用上の配慮や裁量権を最大限認めるよう要望した。学習指導要領に関しては、中教審でこの地教行法の改正等を審議した分科会の会長を務める梶田学長も高校に一〇〇%近い人が進学する中で、学習指導要領と教育現場との間で一部乖離が起こっていることを指摘。そのため現在、教育課程の基準を審議している中教審の教育課程部会では、最低基準にするものをできるだけ少なくすることや、学校や子供に即して柔軟に学習指導要領を扱えるようにする方向で検討を進めていることを明らかにした。
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