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記事2007年6月13日 2067号 (6面) 
地域振興に貢献 (8) ―― 東京電機大学
大学や専門学校が地域と連携

 東京電機大学(原島文雄学長、東京都千代田区)と鳩山町(埼玉県)は昨年十月一日、「連携協力に関する協定書」を締結した。この協定は、同大学と鳩山町が人的、知的、物的資源などの面で交流を通し、包括的な連携のもと、文化、産業、教育、学術等の分野で相互に協力し、地域の発展と人材の育成に寄与することを目的にするもの。両者は、昨年四月に「災害時における相互協力協定」を締結する際、同大学から「まちづくり全般にわたる連携協力」を提案し、今回の相互協力・包括的な連携を目的とする「連携協力に関する協定書」を締結した。



人的、知的、物的資源で交流
包括的な連携で地域発展へ


 同大学は昭和二十四年、民主的社会人としての教養を涵養するとともに、広く技術に関する学芸を教授研究し、学生の叡智・道徳的・応用的能力を展開させることを目的に設立された。設立当初の「技術は人なり」の教育・研究理念は、今日まで受け継がれている。理工学部・鳩山町キャンパスは昭和五十二年四月開設され、十九年度学部改編に伴い現在、サイエンス、情報システムデザイン、創造工学、生命理工学の四学系・十七コース体制となっている。
 鳩山町との連携事項は、地域文化の振興、地域産業の振興、地域住民と大学の多様な交流の促進、教育および人材育成、生涯学習、まちづくりなどに関する事項について十二項目に及んでいる。
 昨年十月二十一日、鳩山キャンパスで、住民、学生、教職員らが参加して実施された防災訓練は、大学を災害対策本部とするもので全国的にも珍しいものだった。この日は、鳩山町一帯が震度六の烈震に襲われ、地震発生と同時に家屋の倒壊、道路の損傷、電気、通信、上水道にも相当の被害が発生したことを想定し、家庭内での、てんぷら油による火災発生や建物火災を想定した初期消火訓練や、大学バスを利用した避難誘導訓練なども行われた。また、防災フェアとして、同大学学生による演奏会、ビンゴ大会、防災備蓄品の展示・無料配布や、子供向けのコーナーなども設置した。
 理工学部事務部では「現在、大学内に備蓄品は一万食用意しています。この訓練を継続することによって、お互いの信頼関係が深まってくると思います」と防災訓練を評価する。
 また、地域文化・産業の振興の一環として昨年十一月から同大学で始めたのが、「リサイクルガラスを活用したアクセサリー製造の創業をめざす講習会」だ。この講習会は、鳩山町に存在する資源を利用するという観点から、大学の教員が中心になって大学の技術も導入し、廃ガラスからガラス工芸品を作る、リサイクルガラスを使ったエコビジネスモデル事業についての講習会だ。
 同大学は地域社会の貢献の一環として、さまざまな公開講座を行っているが、環境への配慮の視点から、昨年十二月九日に「地域環境問題の解決へ向けて」をテーマに「理工学部環境フォーラム2006」(主催=東京電機大学理工学部)を開催、学生、住民ら約二百人が集まった。当日は、事例発表と「今後、大学と地域との連携を深めていくために」と題し、パネルディスカッションが行われた。


大学と地域が協同で問題解決


 協力事業として、昨年から準備し取り組んでいるものに、鳩山ニュータウンで社会実験「鳩山(高齢者宅)ホームステイ」がある。少子高齢化が著しく進んでいる鳩山ニュータウン内の高齢者世帯に学生がホームステイし、お互いに教え合い、助け合いながら生活するシステムの構築と、異世代間のコミュニティの活性化を目指すものだ。これによって、高齢者には共同生活による安心感、充実感、楽しみがもたらされ、学生に対しては知識、知恵、文化の継承などに役立つと考えている。今後、ホームステイ希望者と、学生受け入れ希望世帯の募集を開始する。
 この試みを本格的に実施するためには、大学と地域社会が協同で問題点を解決することが必要不可欠と、同大学では考えている。
 明治四十年、「実学尊重」を柱に電機学校として創立されて以来、今年九月で学園創立百周年を迎える。今年、全学部を改編し生まれ変わった。



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