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記事2007年6月13日 2067号 (8面) 
ユニーク教育 (174) ―― 武蔵工業大学第二高等学校
「総合工学科」スタート
ものづくり通し人づくり
 学校法人五島育英会の武蔵工業大学第二高等学校(河西靖男校長、長野県塩尻市)は四月、県下初の「総合工学科」をスタートさせた。この改革は、既存のメカテック、総合電気電子システム、情報マルチメディアの三科を「総合工学科」と改称し、加えて、従来の「普通科」「自動車科」も教育課程の変更を同時に行うものである。
 この学科再編は、生徒一人ひとりが、新たな可能性を追求し、より意欲的な高校生活を過ごすことができるよう、個々のニーズに対応するため、工業技術の習得・資格取得・大学進学を見据えた教育課程の見直しを図ろうという趣旨に基づく。
 同校は「生徒一人一人が明るく生き生きと誇りを持って学ぶことができ、地域から信頼され、愛される学校」を校是に、堅実でたくましい産業人の育成を目指している。この方針に基づき、ものづくりを通して人づくり≠していくことが大きな特徴だ。
 従来、一年次から専門性の強いカリキュラムに沿って中堅工業技術者の育成を目指し取り組んできた。しかし、中学生にとって工業教育の内容やカリキュラムなどが専門的で理解しにくいことが考えられた。
 そこで、新たな「総合工学科」では、一学年でガイダンス的に共通学習を行い、その間、自分の進路を見極め、二年次で、(1)メカテック、(2)ロボットシステム、(3)Eエネルギー、(4)マルチメディア、(5)進学――の五つのコースから選択し、企業実習も取り入れた授業で専門性を学ぶ一方、武蔵工業大学直系のメリットを活用した大学進学への取り組みを行う。
 これによって生徒が希望を持って将来を見据えた自主性ある教育になるものと、同校は自負している。
 「総合工学科」の五つのコースは次のような内容となっている。
 【メカテックコース】
 ものづくりの達人を目指し、基礎技術の機械設計、CAD、機械工作等を学び、資格取得と産学官連携事業(企業実習)を通して、機械・情報技術系エンジニアおよび保守管理者育成を目指す。
 【ロボットシステムコース】
 機械、電気電子、機械制御などの知識と技術を習得するために、生産システムやロボット工学の基礎を学ぶ。FAや自動制御を含めた電気電子系メーカーや省力機械関連会社のエンジニアを育成する。
 【Eエネルギーコース】
 現代社会の環境問題や電気電子分野の基礎的な知識・技能を学習し、ソーラーや燃料電池など、次世代のクリーンエネルギーを幅広く学び、電気工事士、電気電子系の保守保安関連のエンジニアの育成を目指す。
 【マルチメディアコース】
 コンピュータを駆使して、マルチメディア応用や表現を学習し、メディアリテラシーやグラフィックデザインを中心に自己表現技術を高める知識、技術を学ぶ。
 【進学コース】
 七時限目授業や特別講座を実施し、確かな実力の養成を目指している。
 同校は野球部、サッカー部、空手道部などスポーツ部の活動が盛んであり、強豪校との評価も高く、これら運動系に所属する生徒の一層の進学強化を目指したカリキュラムも設定している。
 普通科では特進コースのほかに総合コースの中にスポーツ選択、ビジネス選択、保育・福祉選択を設け生徒の学びの動機を醸成しているが、この成果が注目されている。また、自動車科でも二年次までに専門課程を終了し、三年次には専門を深化させた内容を学習している。


ものづくり通し人づくりを目指す総合工学科

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