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記事2007年5月23日 2065号 (2面) 
留学生は全体的に減少傾向
全国学校法人立専門学校協 留学生受け入れ実態調査
在留資格厳格化が背景に
留学生入学者数九千人、中国が約半数
全国学校法人立専門学校協会(中込三郎会長)は、過去四年間に引き続き、平成十八年度に実施した「専門学校における留学生受け入れ実態に関する調査研究報告書」をこのほどまとめた。

 調査は看護師養成系の学校を除く二千三百三十校を対象に実施し、千四百五十九校(前年度は千三百九十校)から回答があり、回収率六二・六%(前年度五九・六%)となった。回答校のうち留学生が在籍しているのは四百二十三校で、留学生数は一万四千三百三十二人(前年度比二千三百七十人減)。独立行政法人日本学生支援機構の調査における専門学校留学生数二万一千五百六十二人(前年度比三千六百三十五人減)と比較すると、全留学生の約六六・五%を捕捉した調査となる。
 在籍留学生数の都道府県分布は東京都が五〇・五%、大阪府が一九・五%と続き、以下、神奈川県五・六%、埼玉県三・九%、兵庫県二・七%、宮城県二・六%、愛知県二・一%の順になっている。一校あたりの平均留学生数は三十三・九人(前年度比五・一人減)。在籍校の今後の受け入れ方針は、現状と同様が八四・二%、増員するが一〇・四%、減員するが一・九%、募集停止は一・七%である。これに対して、非在籍校では、今後も受け入れ方針なしが四二・四%、希望者があれば受け入れが三六・三%、検討中が一七・七%となっている。
 回答校における平成十八年度の留学生入学者総数は九千九十八人(前年度比三千五百三十二人減)、出身国別では、中国四千九百八十一人(全留学生入学者中五四・七%)、韓国二千二百七十九人(二五・〇%)、台湾六百六人(六・七%)、ネパール二百七十二人(三・〇%)、スリランカ百八十六人(二・〇%)、ベトナム百四十七人(一・六%)、バングラデシュ百三十八人(一・五%)となっている。全体的に人数が減少しているが、中でも中国からの留学生が前年度比で三千八百四十九人減となっている。減少した背景として報告書では、政府の受け入れが量から質へ方針転換したこと、入国審査基準が厳格化したこと、日本語学校就学生が減少したことを挙げている。
 留学生の入学経路については、日本語学校経由での入学は七五・〇%(前年度比一一・三ポイント減)、現地からの直接入学は二五・〇%(前年度比一一・三ポイント増)となっている。国別では、日本語学校経由が、中国七七・五%(一四・七ポイント減)、韓国六九・四%(四・三ポイント減)、台湾五九・四%(〇・七ポイント減)である。報告書は、入国管理局の在留資格厳格化が影響したと分析している。ここ数年、現地から直接入学を希望する学生を募るよりも既に日本国内で就学している日本語学校生の在留資格変更という簡単な手続きの学生の確保を優先してきたものの、日本語学校就学生の減少により、現地からの直接応募に積極的に対応せざるを得なくなったのではないかと見ている。
 専門分野別での入学生の比率を見ると(カッコ内は前年度)、商業実務二六・一%(三一・八%)、日本語科を除く文化・教養二一・三%(二六・六%)、日本語科二四・六%(一五・八%)、工業一四・七%(一四・六%)、服飾・家政八・一%(七・一%)、衛生四・四%(三・六%)、教育・社会福祉〇・五%(〇・一%)、医療〇・四%(〇・三%)となっている。
 回答校での平成十八年年三月に卒業した留学生五千九百八十五人の卒業後の進路をみると、日本での進学が三千三百六十七人(構成比五六・三%)、日本で就職が九百九十六人(同一六・六%)、帰国は一千二十四人(同一七・一%)となっている。日本での進学の内訳は、大学が一千九百三十四人、専門学校一千二百三十三人、短期大学百三人、大学院九十七人である。
 次に日本語科を卒業した留学生と日本語科以外の専門分野を卒業した留学生とで卒業後の進路を比較してみる。日本語科卒業生は二千六十四人、その他は三千九百二十一人である。日本語科卒業生の進路は、日本での進学八〇・〇%、帰国一四・五%、日本での就職五・三%、日本語科以外の卒業生の進路は、日本での進学四一・二%、日本での就職二二・六%、帰国一八・五%である。日本での進学先を比較すると、日本語科卒業生では専門学校への進学者八百五人(三九・〇%)が大学への進学者六百三十七人(三〇・九%)を少々上回っているのに対し、日本語科以外の卒業生では大学への進学者一千二百九十七人(三三・一%)が専門学校への進学者四百二十八人(一〇・九%)を大きく上回っている。
 入国管理政策への要望・意見は合計で百十六件が寄せられたが、特に今回は申請に対する審査の迅速化を求める声が多かったほか、審査基準に対する要望・意見、就労ビザ審査の緩和を求める要望などが寄せられた。その他、文教政策に対しては、奨学金制度の改善、居住環境への支援のあり方などについての意見も多かった。
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