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記事2007年4月23日 2063号 (1面) 
知事部局に指導主事の配置促進
教育再生特別委員会で文科相答弁
地教行法改正案等審議入り
文科相「国会審議を参考に通知作成」
 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案」など、いわゆる教育再生三法案等を審議する衆議院の「教育再生特別委員会」が、四月十八日、第一回会合を開き、委員長に保利耕輔・元文部大臣(自由民主党)を選出し、審議入りした。二十日には二回目の委員会が開かれ、自由民主党の小坂憲次・前文部科学大臣を始めとする与野党の閣僚経験者らが質問に立った。審議では地教行法改正に絡んで私立学校の建学の精神の尊重の問題も取り上げられた。

 四月十八日の第一回委員会では、政府提出の「地教行法改正案」「学校教育法等の一部を改正する法律案」「教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案」について、伊吹文明・文部科学大臣が趣旨説明を行い、民主党が学校教育力向上を目指して提出した、「教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案」「地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案」「学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案」について、藤村修議員らが趣旨説明を行った。
 二十日の特別委員会では、与党から中山成彬議員(自民党)小坂憲次議員(同)、西博義議員(公明党)が、野党からは菅直人議員(民主・無所属クラブ)、石井郁子(日本共産党)、保坂展人(社会民主党・市民連合)、糸川正晃(国民新党・無所属の会)らが質問に立った。
 このうち公明党の西議員は、高校以下の私立学校と知事部局、教育委員会の関係について文科相に質問した。これに対して伊吹大臣は、私立学校の建学の精神について尊重することが重要なこと、その一方で私学も公教育として国民の血税を受けていることから、学習指導要領その他を守らなくてはいけないこと、そのため今後は、知事部局に対して、教育内容等のわかる専門的スタッフの配置を促していく考えを明らかにした。安倍総理からも指導主事等の配置を促すよう指示を受けていると答えた。その場合、私立学校の納得が必要で今後、国会の審議などを参考にして通知を作成、建学の精神を冒すことがないようにしていきたいとも語った。また未履修問題の背景にある高校教育と大学入試とのギャップに関して伊吹大臣は、両者を同じにすることは難しいとしながらも、中教審等が改革案の検討をしているとした。
 小坂議員も教育委員会の知見を私立学校に活用することが重要と指摘。かつて、教育委員会が、警察からの情報を私立学校等に提供することを渋った事例があったことを挙げ、連携の重要性を強調した。政府提出の地教行法改正案では、知事は私立学校に関する事務について、必要と認めるときは、教育委員会に、学校教育に関する専門的な事項について助言・援助を求めることができるとしている。そのため与党は、大臣答弁、付帯決議、施行通知で私立学校の自主性・独自性を担保することを決めている。民主党の三法案では、教育委員会を廃止して事務を首長に移管、その評価等を行う教育監査委員会を新設する、教員の一般免許は修士学位(六年制)を前提に、さらに一年間の教育実習を終えた者に免許を授与する、一定期間実務を行った者は教職大学院等で研鑽を積み、資質・能力を向上させた者に専門免許状を授与するなどを打ち出している。
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