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記事2007年4月23日 2063号 (1面) 
学習指導要領の大綱化弾力化を
東京と静岡の教委が文科省に要望
東京都教育委員会と静岡県教育委員会は、このほど、相次いで学習指導要領に関して、必修科目の厳選や学校の教育課程編成の裁量拡大など、一層の大綱化・弾力化等を求める要望書を文部科学省に提出した。
 高校進学率が九七%に達する中、高校には様々な学力をもった生徒が在籍し、生徒の実態に合わせた教育課程の編成や指導上の工夫等が各高校の課題となっている。
 先に大きな問題となった必修科目の履修漏れ問題の背景には、学習指導要領という単一の基準で様々な生徒の実態に合わせて教育課程を編成・実施しようとすることに無理が生じている、と指摘する学校関係者は少なくなく、中央教育審議会が二月に行った教育団体等からの意見聴取でも、全国高等学校長協会や日本私立中学高等学校連合会が学習指導要領の見直しを要請していた。中教審委員からも学習指導要領の見直しの必要性が指摘されている。
 そうした状況の中で東京都教育委員会は、都内の公立校の校長会の意見を聴取した上で、高校の学習指導要領については、(1)「地理歴史」の「日本史」、「保健体育」の「体育」と「保健」以外の必修科目は、各教科で各一科目とし、科目を指定しないこと(2)総合的な学習の時間の授業時数については、学校や生徒の実態に応じて三十五時間から百五時間までとし、指導する目標や内容を示し、各学校が扱う内容を選択できるようにすること(3)休業日の土曜日の扱いについては、弾力的に扱えるようにすることを要望している。また中学校では、各学校が特色ある教育課程を編成できるよう、すべての授業時数を上限と下限で示すことなどを求めている。
 一方、静岡県教育委員会は、必修教科・科目について、教科・科目の選択における学校裁量を拡大し、標準単位数が二単位である科目でも、特に必要がある場合は、単位数を減ずることを可能とすること、必修科目については指定せず、各学校が定められるようにすること、学校五日制に関して、月に二回を限度として土曜日にも授業を行えるようにすることを求めており、そのほか「理科」、「数学」、「地理歴史」、「総合的な学習の時間」に関して細かな弾力化措置を要望している。
 次期の学習指導要領のあり方を審議している中央教育審議会教育課程部会は、高校の学習指導要領に関して、一層の大綱化・弾力化を課題としており、教育再生会議でも各学校が創意工夫を活かして教育課程を編成できるようにするため、学習指導要領を大綱化する必要性を指摘する意見が出されている。

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