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記事2007年4月13日 2062号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向 教育振興基本計画の骨格を審議
計画期間を5年に 教育を広く捉えて策定6月には中間整理
【教育振興基本計画特別部会】
中央教育審議会は四月九日、都内で教育振興基本計画特別部会(三村明夫・新日本製鐵株式会社代表取締役社長)の第三回会合を開いた。この日は、平成十五年三月二十日の中教審答申「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」を参考に、教育振興基本計画の計画期間と対象範囲などを検討した。
 その結果、計画期間については、十年程度の必要性を指摘する意見もあったが、先の答申とおり、短い期間の方が、計画実現に緊張感がある、社会の変化に対応しやすいなどの理由から概ね五年とすることを決め、五年で実現できないものについては、フォローアップしていくこととした。
 また計画の対象範囲については、子育てや食育といったように社会の教育に対する期待が広がっていることから、できるだけ教育を広く捉えて計画を策定することも決めた。さらに教育振興基本計画の項目立てについては、先の答申とおり、T.教育振興基本計画の基本的考え方、U.教育振興基本計画の構成 1.基本的な方針、2.総合的かつ計画的に取り組むべき施策、3.計画の策定、推進に際しての必要事項――とすることが了承された。計画に盛り込むべき具体的な内容についての意見も複数の委員から出されたが、中身の議論は次回以降に本格的に進めていく。
 同特別部会では、夏には各省庁が平成二十年度政府予算の概算要求を財務省に提出しなければいけないことや、その他の審議会も教育問題を議論していることから、急ピッチで議論を進め、五月から六月にかけて議論の中間的な整理を行う。
 同計画に盛り込む「重点的に取り組むべき施策」に関しては、平成十五年三月の答申をまとめる際、かなり議論しており、私学における教育研究の振興や良好な就学前教育の整備も盛り込むべき事項として取り上げられていた。
 この日は自由討議も行われ、委員から「教育振興のための財源問題に正面から取り組むべきだ」「一部の親への対応で学校が疲弊している。家庭の役割についても積極的に発言すべきだ」「教育振興計画の成否を評価する計画も盛り込むべきだ」などの意見が出された。またこの日は前回に続いて委員による意見発表が行われ、東京大学大学院の金子元久教育学研究科長が、高等教育の今後のあり方について発表し、民間貯蓄の動員を含めて高等教育への投資拡大、学生の意欲作り、一つの科目ではなく、複数の体系的な科目群の履修を認証することの重要性(放送大学等で実施中)、大学において人格や意欲を作ることが最終的には我が国の経済成長に結びつくことなどを指摘した。なお三月十二日の第二回会合では、山本恒夫委員(八洲学園大学教授)、無藤隆委員(白梅学園短期大学長)が意見発表した。次回の教育振興基本計画特別部会は四月二十日。
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