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記事2007年4月13日 2062号 (2面) 
学士課程教育の到達目標
国の支援策等を夏前には中間報告
【学士課程教育小委員会】
中央教育審議会の「学士課程教育の在り方に関する小委員会」の初会合が四月六日、都内で開かれ、主査に黒田壽二・金沢工業大学学園長・総長を選出するとともに、今後検討する事項や検討方法等を決めた。
 予算を伴う施策に関しては今夏の来年度概算要求提出までに方向性を固めなくてはいけないことや、教育再生会議等政府のその他の審議会も大学改革を検討していることから、検討事項を絞り込んだうえで、早急に意見の集約を図る考えだ。
 当面は、大学分科会制度・教育部会の郷通子部会長(お茶の水女子大学長)と事務局(文部科学省)が作成したたたき台≠基に検討を進める。たたき台は、(1)学士課程の到達目標(2)各大学の取り組みのチェックポイント(3)国による支援策の在り方が柱。
 このうち(1)では、学士課程一般を通じた学習成果、身につけさせるべき能力の構成要素、それらを総称した呼称、社会をリードする創造的人材に求められる教養を検討。
 (2)では、各大学の自己点検・評価の際の参考資料として「チェックポイント」を提示し、学士課程の質の維持向上(単位制の実質化等)に寄与することを検討する。
 例えば教育課程(学士課程教育)の体系性の有無等を判断する尺度、望ましいシラバスが備えておくべき要素、教員の教育力向上に向けた学内体制(FD等)について求められる要素等を検討課題としている。
 (3)の国による支援策に関しては、きめ細かな指導と厳格な成績評価、卒業認定の普及促進に向けた支援策、個別大学の枠を超えた分野別の教育の質向上のシステム作りに向け、構ずるべき施策(ベンチマーク、モデルカリキュラム、標準教材等)、学生の学習活動の実態把握や学習成果の測定のための施策等を検討する。
 これら検討課題については、検討の時間が限られていることから、各委員に一〜二テーマを割り振り、一カ月程度で意見をまとめてもらい、それら意見を委員の中から選出するコーディネーターが事務局と相談しながら集約、五月の連休明けには文部科学省に提出、第二回会合が予定されている五月上旬には中間報告に盛り込むべき事項についての審議を行い、夏前には中間報告をまとめる予定。準学士課程(短期大学)教育については当面、検討の予定はないが、委員には短期大学関係者もおり、将来的には短大に関する検討も行う予定。
 我が国の大学については、国際的通用性との観点から多くの問題点が指摘されており、文部科学省も多様性と標準性の調和が重要で、何でもありではないと強調するなど、教育の質の保証に向け軸足が標準性にシフトしつつあるようだ。教育再生会議も質保証として出口管理等の方向性を打ち出している。

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